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NHK「日曜美術館」は、1976年の放送開始から2,500回を超える長寿番組です。2026年に50年を迎えるにあたり、これまで番組に登場した"美"の魅力を伝える展覧会が開催されます。
同展では、番組を彩ってきた120点を超える名品を、5つの章で紹介します。あわせて、番組の出演者たちがつむいできた時代を超えて響く言葉を過去の放送から厳選して上映するとともに、高精細映像も組み合わせて、"美"と人を繋いできた「日曜美術館」の歴史を紹介します。
第1章 語り継ぐ美 〜時を超えて美を語る言葉・語らせる作品
1976年4月、日曜美術館は「私と○○」という企画で放送を開始しました。各界の第一線で活躍するゲストが、敬愛する 作家や作品への思いを語り、美の本質や創作の背景に迫る内容でした。彼らは「美の語り部」として、言葉にならない美 を言葉でつむぎ、私たちと作家をつなぐ架け橋となりました。その言葉は、美を味わう手引きであると同時に、「人間とは」「自然とは」「生きるとは」といった根源的な問いへの入口でもありました。50年を経た今も、「美を語る言葉」を大切に伝えるという精神は息づいており、繰り返し取り上げられる作家や名品も多くあります。一人のゲストが同じ作家を30年後に再び語ることもあり、語りの熱は時代を超えて受け継がれています。それは作品自体が「語らせる」力を持ち、人々に感動と表現への衝動を呼び覚ます証です。名品と語り部の言葉が重ねた50年の美の軌跡は、今なお新たな感動を生み続けています。大江健三郎が語るフランシス・べーコン、舟越保武が伝える松本竣介、モデルとなった矢内原伊作が伝えるアルベルト・ジャコメッティなど、各界の第一線で活躍するゲストの言葉と古今東西の作家と作品を紹介します。

(左上)ポール・セザンヌ《水浴》 1883-87年 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館蔵
(右上)アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラⅠ》 1960-61年 国立国際美術館蔵 撮影:福永一夫
(下)石田徹也《飛べなくなった人》 1996年 静岡県立美術館蔵
第2章 日本美の再発見 古代から明治まで
1950年代の岡本太郎による縄文の美の再発見、1970年代の辻惟雄による江戸の奇想絵画の評価、そして琳派や浮世絵を 現代アーティストが再解釈する動きなど、日本美術には、時代や人物の視点によって新たな光を放つ魅力があります。1976年に始まった「日曜美術館」は、放送初期から北斎や若冲を紹介してきましたが、2016年の若冲展では空前の行列が生まれ、日本美の再評価を象徴しました。2000年代以降は奇想の絵師の特集が増え、「“にっぽん”美の旅」シリーズでは井 浦新さんの企画により縄文の美が数多く取り上げられました。縄文の造形力、奇想の強烈さ、浮世絵の多様な表現には、創造した芸術家の情熱とともに、受け止めた庶民の生命力が宿っています。そこには、日本の美の源流を自らの中に再発見する可能性が感じられます。村上隆、大野一雄、井浦新らがつむぐ言葉で、縄文土器・土偶、伊藤若冲、曾我蕭白、葛飾北斎など、日本美術の名品が再び輝きだします。

曾我蕭白《柳下鬼女図屛風》 江戸時代・18世紀 東京藝術大学蔵
第3章 工芸 伝統と革新
50年間、日曜美術館が継続して取り上げてきたのが「工芸」です。1976年の「日本伝統工芸展」から始まり、翌年からは「正倉院展」も放送し、日本の優れた工芸美術を紹介してきました。番組では、正倉院の宝物や、各時代を代表する匠たちの制作風景、そして技と素材に真摯に向き合う姿が映像として残されています。その中には、後に人間国宝となる職人たちの若き日の挑戦や、親から子へと受け継がれる技の葛藤、厳しい時代にも続く伝統継承の奇跡が映し出されています。近年は明治から 現代に至る超絶技巧にも注目し、過去の名工の技に学びつつ新たな表現を探る若手作家たちを紹介しています。自然と深く結びついた日本の工芸の誇りと精神は、今もなお匠たちの手の中で脈々と受け継がれているのです。正倉院宝物(模造)、松田権六、室瀬和美、森口華弘・邦彦、安藤緑山、塩見亮介などの名品を紹介します。
第4章 災いと美
2020年、コロナ禍により美術館が休館し、番組の継続も危ぶまれる中で日曜美術館は大きな危機を迎えました。しかし「美を届けることを止めない」という信念のもと、過去の映像を活用した「蔵出し日本絵画・西洋絵画シリーズ」や、困難な時にこそ分かち合いたい作品を紹介する「♯アートシェア」などが生まれました。「疫病をこえて 人は何を描いてきたか」は、災いと人間の表現の関わりを美の視点から見つめ直す象徴的な番組でした。古来より人は災厄に向き合う中で美を通してそれ を理解し、昇華してきたことが明らかになり、社会の災害や戦争にも同様の姿勢が見られます。戦争体験や自然災害の惨状と 対峙しながら、創作を通して真摯に人間の在り方を問う作家たちの姿は、なぜ人は災いをも美で表現しようとするのかという根源的な問いを私たちに投げかけ、美の持つ無尽蔵の力を改めて感じさせるものです。 本章では、災いと向き合い、理解し、受け止めるために美が果たしてきた役割とその力を考えます。香月泰男、靉光、野見山暁治、石内都などの作品とあわせてパブロ・ピカソの傑作「ゲルニカ」を原寸大高精細映像で展示します。
第5章 作家の生き様と美 〜アトリエ&創作の現場
作家のアトリエは、歓喜や苦悩、葛藤、孤独といったあらゆる感情が交錯する、美の舞台裏です。日曜美術館では1980年から「アトリエ訪問」シリーズを通して、多くの作家の創作現場を紹介してきました。散乱した空間もあれば道場のように整然とした場もあり、そこには作家それぞれの生き様と個性が刻まれています。作品がまさに誕生する瞬間に立ち会うことは、創造の 核心に触れる特別な体験です。日常の何気ない出来事から着想を得る姿には、作家の内面や秘密を垣間見る喜びがあります。また、制作過程で語られる言葉の一つひとつには、創造という行為の深い意味が宿っています。見えないものを描こうとする 探究や、人間や社会、自然への思索は、美を超えて生き方そのものを問う“美の哲学”といえます。アトリエという聖域での濃密な時間がある限り、新たな美が生まれ、世界に光をもたらし続けるのです。 岡本太郎、柚木沙弥郎、志村ふくみ、加山又造、李禹煥、舟越桂、諏訪敦、山口晃など、放送時の映像とともに制作の過程で作家が語る言葉に耳を傾けながら、創造という行為の深淵を感じてみてください。

(左)柚木沙弥郎《いのちの樹》 2018年 松本市美術館蔵 (右)岡本太郎《遭遇》 1981年 川崎市岡本太郎美術館蔵
■展覧会名:NHK日曜美術館50年展
■会期:3月28日(土)〜6月21日(日)
■会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4
■開館時間:10時〜17時(入館は16時30分まで)
■休館日:月曜日(ただし5月4日は開館)
■料金:一般 2,000 円/高校・大学生:1,200円/中学生以下は無料
※高校生・大学生チケット対象者は学生証を持参してください。
※3月31日(火)~4月10日(金)までの平日に限り、大学生以下は無料です。(学生証を持参してください)
※中学生以下は期間を通して無料
※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名は無料(入館の際に障がい者手帳などを提示ください)
※会期中展示替えがあります。展示作品、会期、開館時間、休館日等については、今後の諸事情により変更する場合がありますので、展覧会公式サイト等で確認ください。
■主催:東京藝術大学、NHK、NHKプロモーション
■協賛:NISSHA
■助成:藝大フレンズ賛助金
■問い合わせ:TEL.050-5541-8600(ハローダイヤル)
■アクセス: JR上野駅(公園口)、東京メトロ千代田線根津駅(1番出口)より徒歩10分
京成上野駅(正面口)、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅(7番出口)より徒歩15分
※ 駐車場はございませんので、お車での来館はご遠慮ください。
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★申込み締切4/3(金)12:00まで
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。
更新日:2026年3月18日(水)








