vol.10 和紅茶でほっこりする
** はじめに **
秋の色も日一日と濃くなって参りました。食いしん坊な私にとっては待ちに待った食欲の秋の到来です。特に栗やお芋はそのままでも、和菓子にしても洋菓子にしても美味しいという大変危険な存在でもある訳ですが、これらを和紅茶と一緒に楽しむのがまた、この季節の楽しみの一つにもなっています。
** 和紅茶とは **
最近よく耳にする「和紅茶」、これは日本国内で育てられた国産茶葉を用い日本国内で加工された紅茶のことを指します。「国産紅茶」「日本紅茶」「地紅茶」などと呼ばれるよりも、この「和紅茶」という呼び名が可愛いということもあるかも知れませんが、広める為に活動なさっている方達のお力もあり、数年前よりちょっとしたブームにもなっています。 紅茶が日本に初めて入ってきたのは明治時代、イギリスから伝わったとされています。緑茶が中国から持ち込まれたのが奈良時代ですので、我々日本人と紅茶の出会いは随分と新しいものになりますね。また、意外かもしれませんが茶葉は緑茶も紅茶も同じ、発酵の度合いの違いで不発酵茶(緑茶)、半発酵茶(烏龍茶)、発酵茶(紅茶)などが作られています。不発酵茶の代表である緑茶は、茶の葉を蒸す・炒るなどして最初に葉の酸化酵素を不活性化しています。一方、発酵茶の代表である紅茶は、酸化酵素の働きを最大限に活用して作られます。
** 和紅茶の楽しみ方 **
《 和の器をあわせる 〜NIKKOのティーカップ×羊羹〜 》
和紅茶を楽しむならティーカップも日本のメーカーのものを選んでみます。(これは個人的な感想ですが)和紅茶は全般的に渋味が少なく丸いお味なので、お饅頭や羊羹といった和菓子にもとても合うと思っています。
《 〜益子焼きの小ぶりの茶噐×柿の道明寺〜 》
緑茶を頂くようなこぶりの茶噐で頂くのもありです。道明寺だけでなく大福の様な重めのお菓子にもあいますし、柿やイチジク・梨・ぶどうなど秋の果物との相性も◎です。
《 〜カフェオレボウル×干菓子〜 》
カジュアルにお抹茶を楽しむ雰囲気で、カフェオレボウルで楽しむのも面白いです。お干菓子との相性も良かったですね。
《 柿・栗・かぼちゃといった秋の美味しいものたちと合わせる 》
** 終わりに **
気温が下がってくると女性は特に「冷え」が気になるものです。そんな季節にも発酵茶なので身体を温めてくれる紅茶は良いですね。ミルクはもちろんのこと、生姜やシナモンなど冷え症に効果のあるスパイスとの相性も良いので、色々な楽しみ方が可能です。香りによる精神安定効果も期待できる紅茶、この秋は和紅茶を選んでお好みのご褒美とともにぜひ「ほっこり」なさってください。
歳時記・和菓子研究家 柳澤ゆり子
パリへ行く!と思い立ち仕事を辞めて渡仏。自国の文化を学ぶ必要を強く感じ、帰国後は着物・煎茶道・和菓子・折形・風呂敷・金継などを学ぶ。ほんの一滴、和のエッセンスを加える事で潤う日々の暮らし。花・茶・和菓子といった身近なアイテムを取り入れることで、四季を感じる暮らしをもっと楽しんでいただけたら、そんな想いで地元鎌倉を中心に活動中。モットーは「美味しく楽しく美しく」。
京都造形芸大(通信)和の伝統文化コース卒業/日本茶アドバイザー/風呂敷愛好家
更新日:2018年10月3日(水)