【特集】クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし

【特集】クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし

ギュスターヴ・クールベ 《フランシュ=コンテの谷、オルナン付近》1865年頃 油彩・カンヴァス 茨城県近代美術館

 19世紀フランスを代表するレアリスム(写実主義)の巨匠ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)。クールべが描いた海をテーマに、同時代の画家たちが描いた風景画も展観する本展は、とりわけクールベが1860年代以降に集中的に取り組んだ「波」連作を中心に紹介し、レアリスムの巨匠が捉えた海景画の同時代性と特異性に迫ります。
 クールベは、現実を理想化して表現するそれまでの絵画を否定し、目の前の世界をあるがままに描くことで、既存の政治や美術制度に敵対的な態度を表明してきました。一方でクールベは、故郷フランシュ=コンテ地方の切り立った山や森、そこに息づく動物たち、フランス北部のノルマンディー地方の海など、厳しい自然の姿を繰り返し描いています。
 スイス国境近くの山々に囲まれた小さな町オルナンに生まれたクールベが、初めて海を目にしたのは22歳の時。うねる波、どこまでも続く水平線に圧倒され、特に1860年以降、好んでその情景を描き、当時の人々から賛辞を得ました。波のみに肉薄したクールベの作品には、それまでの時代に描かれた物語性や感傷性に富む海とも、後の世代が描いた海水浴や浜辺での社交の情景を描いた身近な海とも、異なる視点で海が捉えられています。
 本展では、クールベの海の絵画を中心として、故郷を描いた風景画や狩猟画、またモネやブーダンなど他の画家たちによる海を描いた作品を含む約60点を展観し、海、そして自然へのまなざしが大きく変わる時代にこの近代絵画の革新者がどのように自然と対峙したかを探ります。

■■ Keyword レアリスム

 19世紀半ばのフランスに盛んになった現実社会に取材する芸術の潮流で、クールベはその代表的な存在。その背景には、都市労働者の置かれていた悲惨な状況があり、芸術を通してその実態を訴えるという目的意識には、当時の社会主義的思想との結びつきがあった。

【第1章】クールベと自然―地方の独立


 スイスとの国境に近い山間の地、フランシュ=コンテ地方オルナンに生まれ育ったクールベは、険しい断崖や小高い草原、洞窟の多い水源地、そして木陰の川などが特徴的なこの土地を繰り返し描いています。本章では、20歳でパリに上京してからも、頻繁に帰郷しては描き続けたこの土地の風景画を、19世紀フランスを代表する風景画家たちの作品とあわせて展観し、クールベの描く風景画の革新性に迫ります。

0407courbet_c.jpg 【第2章】クールベと動物―抗う野生


 若い頃から大自然に囲まれて育ち、秋になると狩猟も楽しんだクールベにとって野生の動物は身近な存在でした。本章では、クールベが表現した、人間に狙われ、支配される動物や、自然の中に生息する動物の伸び伸びとした様子をご覧いただけます。同時代に活躍した バルビゾン派の画家たちが描く、田園情景の中の飼いならされた家畜との比較をお楽しみください。


ギュスターヴ・クールベ 《狩の獲物》1856-62年頃
油彩・カンヴァス 個人蔵

■■ Keyword バルビゾン派

 バルビゾンはパリ近郊フォンテーヌブローの森にある小村の名。1830年頃から、自然に近い環境で風景画を制作するためにこの村の周辺に集まった画家たちの総称。戸外でのスケッチを重視して、理想化された古典的な自然ではなく、特定の場所での情景を描いた。


【第3章】
クールベの以前の海―畏怖からピクチャレスクへ

 自然へのまなざしが大きく変わるの18世紀から19世紀にかけての西洋。海景画においても、それまでの国の富を象徴する目的で描かれてきたものが、この時代には海そのものが鑑賞の対象として描かれるようになります。本章では、この自然へのまなざしの転換期に描かれた、畏怖と崇高の対象としてのドラマティックな海景画を紹介します。

■■ Keyword 海景画

 風景画の中で特に海を描いたもの。海運業が盛んであった17世紀オランダで発展し、立派な帆船が海上に優美なマストを連ねる情景や、海戦の様子などが描かれた。18世紀に入ると、嵐の海や難破船が多く描かれ、海に対する人間の畏怖の念や高揚感が表現された。


【第4章】
クールベと同時代の海―身近な存在として

 19世紀、パリから沿岸部の主要都市への鉄道が次々と開通すると、それまで畏怖や崇高の対象として鑑賞されてきた海は、急速に人々にとって身近な存在となります。パリの中産階級の人々は、休日になると鉄道に乗って海岸へ出かけ、海辺での余暇を楽しみました。本章では、クールベと同時代に活躍したブーダンやモネ、カイユボットらが捉えた身近な存在としての海の情景を紹介します。

0407courbet_d.jpg


クロード・モネ 《アヴァルの門》1886年 油彩・カンヴァス 島根県立美術館

■■ Keyword 海辺での余暇

 19世紀の中頃、フランス沿岸部のそれまで静かな漁村だったところは、海水浴やカジノ、ゴルフ、コンサート、ショッピングといった娯楽を楽しむ観光地へと変貌した。中でもパリからほど近いノルマンディーの海辺は、パリの中産階級の人々にとっての社交の場として機能した。



【第5章】
クールベの海―「奇妙なものとして」

 山間地で生まれ育ったクールベが初めて海を目にしたのは22歳の時。クールベはその時の海の印象を「奇妙なもの」と表現しています。それから20数年後の1865年から1869年にかけて、クールベは毎年のようにノルマンディーの海岸に出かけ、生涯に100点以上の海を主題にした作品を残します。本展覧会の最終章となる本章では、クールベが1865年以降に集中的に描いた海景画のうち、本展覧会のために集められた11点を一堂に展観します。

■■ Keyword 奇妙なもの

 22歳の時にノルマンディー地方を旅したクールベが、初めて海を見た感動を両親に興奮交じりに綴った手紙の中に登場する言葉。そこには、「ついに海を、地平線のない海を見ました。これは谷の住民にとって奇妙なものです」と書かれていた。

0407courbet_e.jpg

ギュスターヴ・クールベ
(左)
《波》 1869年 油彩・カンヴァス 愛媛県美術館
 (右)《エトルタ海岸、夕日》1869年 油彩・カンヴァス 新潟県立近代美術館・万代島美術館

展覧会のみどころ

1. クールベが描いた海に着目した本邦初の展覧会。国内からクールベの「波」が集結するほか、フランスからも出品!
山に囲まれた小さな村で育ったクールベは後年、100点以上もの海の風景画を描きました。本展覧会は、国内外より11点のクールベの海を主題にした作品を集め一堂に展示する貴重な機会です。フランスからは、オルレアン美術館より、サロン出品作と同じ構図で書かれた《波》(1870年)が出品されます。

2. クールベの展覧会は、国内では9年ぶり。海景画のほか、風景画や狩猟画も出品!
自然へのまなざしが大きく変化する19世紀フランス。レアリストを標榜するクールベは自然をどのように捉えたのでしょうか。クールベの生まれ故郷フランシュ=コンテ地方の切り立った山や森、そこに息づく動物たちを描いた作品から、クールベの自然へのまなざしを探ります。

3. 印象派を代表するモネやブーダンなどの作品も出品!クールベと印象派とのつながりを紹介!
クールベは1860年代、モネやブーダンと交流し、ノルマンディーでともに絵画の制作をしています。本展では、モネが光の効果を試すように描いた南仏の海や、ブーダンが描いたリゾート地化したノルマンディーの浜辺の様子を併せて展示し、クールベと彼らの作品に見られる影響関係や、クールベの海景画の特異性を明らかにします。

■開館時間/10時〜18時(入館は17時30分まで)
※5月7日(金)、6月4日(金)は夜間開館のため20時まで開館(入館は19時30分まで)
■休館日/水曜日(但し5月5日は開館)
■入館料/一般1,000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料
※障がい者手帳を提示の方、および付添者1名まで無料
■主催/パナソニック汐留美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
■協賛/ライオン、DNP大日本印刷、損保ジャパン
■後援/在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会
■協力/日本航空、船の科学館「海の学びミュージアムサポート」
■問合せ/050(5541)8600(NTTハローダイヤル)
■会場/パナソニック汐留美術館  港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階

◎公式HP→ https://panasonic.co.jp/ls/museum/
◎公式フェイスブック→ https://www.facebook.com/shiodome.museum


★こちらの観覧券を5組10名様にプレゼント!

★申込み締切 4/16(金)12:00まで
※当選者の発表は観覧券の発送をもってかえさせていただきます。

更新日:2021年4月7日(水)

クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし
受付は終了しました。

ログイン後に送信可能になります。ページ上部にある認証ボックスより認証をしてください。

会員登録はこちら web限定会員プレゼント 今月のladytokyo 媒体資料 朝日おでかけ