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【特集】空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン【応募〆切7/19】

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン_東京ステーションギャラリー
ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。若き日に偶然出会ったマグリットの壁画に感銘を受け、絵画世界に惹きつけられたフォロンは、1955年に移住したパリ近郊でひたすらドローイングを描く日々を送ります。
フランスではなかなか芽が出ませんでしたが、作品を投稿したアメリカの『エスクァイア』『ザ・ニューヨーカー』『タイム』などの有力誌で注目され、1960年代初頭にはそれらの表紙を飾るようになります。その後、オリベッティ社(イタリア)のグラフィック・デザインを任されたり、ミラノ・トリエンナーレ(1968年)のフランス館で壁画を依頼されたりと活動の幅を広げていきました。続くヴェネツィア・ビエンナーレ(1970年)やサンパウロ・ビエンナーレ(1973年)へのベルギー代表としての参加や、各国の美術館での個展の開催など目覚ましい活躍をみせます。世界中で高い評価を得たその活動は、版画や水彩画、ポスター、文学作品の挿絵や舞台美術など多岐にわたります。
色彩豊かで幻想的な詩情あふれるその作品は、一見すると美しく爽やかにさえ感じられますが、そこには環境破壊や人権問題など厳しい現実への告発が潜んでいます。後年手がけた彫刻作品にも、孤独や不安といったそれまでのグラフィック作品に通底するフォロンのメッセージを読み取ることができるでしょう。
本展はフォロンの初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品までを含めた約230点を紹介する、日本では30年ぶりの大回顧展です。デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある現代、環境や自由への高い意識をもち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術を、いま、あらためて見直します。

プロローグ 旅のはじまり

本展のタイトルは、フォロンが制作し実際に使っていた名刺 “FOLON: AGENCE DE VOYAGE IMAGINAIRE(フォロン:空想旅行エージェンシー)” が着想源。本章では、フォロンの芸術世界を旅するための入口として、フォロンがくりかえし描いた変化する日常の事物や人間をモチーフとするドローイングや彫刻作品、日常に潜むユーモラスな風景を切り取った写真などから、フォロンの思考を紹介します。

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン_東京ステーションギャラリー

(左)《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
(中央)《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
《いつもとちがう(雑誌(右)『ザ・ニューヨーカー』表紙 原画》1976年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

第1章 あっち・こっち・どっち?

旅先で頼りになる道案内の矢印。ところがフォロンが描く矢印は旅人を攪乱するかのように、あちらこちらへと向かいます。矢印に翻弄される街や人間を描くことは、フォロンにとって自立したアーティストとして進んでいこうとする強い意志表明でもありました。制作初期から登場する “誰でもあって、誰でもない” 謎の人物、リトル・ハット・マンを道連れに、フォロンが空想旅行へと誘います。

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン_東京ステーションギャラリー

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

第2章 なにが聴こえる?


「耳を澄ませば、世界が動いている音が聴こえてきます」。そう語るフォロンの耳に届いていたのは、どのような音だったのでしょうか。水彩のやわらかな色使いと、自在なドローイングのタッチとは裏腹に、描き出された世界はあまり穏やかではありません。フォロンが作品に込めた静かな抗議のメッセージに耳を澄ませてみましょう。

第3章 なにを話そう?

見る人が絵と対話することを望んでいたフォロン。人々に世界の「いま」を語りかける手段として、フォロンは企業や公共団体などの依頼で手がけた600以上ものポスターを、絵画作品と同じくらい大切にしていました。本章ではそうしたポスターや、アムネスティ・インターナショナルの依頼をうけて制作した『世界人権宣言』の挿絵原画などから、優れたコミュニケーターとしてのフォロンの魅力を紹介します。

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン_東京ステーションギャラリー

(左上)《グリーンピース 深い深い問題》1988年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025
(中央上)《無題》1983年頃 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
(右上)《Lettera 32 すべての人にオリベッティを》1967年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
(下)《『世界人権宣言』表紙 原画》1988年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

エピローグ つぎはどこへ行こう


「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」と語っていたフォロンは、かろやかに世界を飛び回り、旅先での新しい体験や出会いを大切な創作のエネルギーにしていました。この世界の厳しい現実を静かに告発しつつも、同時にその美しさを表そうとしたフォロン。本展の最後は、彼が愛してやまなかった海と水平線を描いた水彩画や、旅先でのスケッチブック、メール・アートなどで締めくくります。

(左)《月世界旅行》1981年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
(中央)《見知らぬ人》1991年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
(右)《秘密》1999年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025 ©photograph by Fernandez

● 本展の見どころ ●

1.色彩の魔術師
フォロンの作品の大きな魅力は、その美しい色彩にあります。しかし1点の作品に使われる色数は決して多くはありません。限られた色彩を巧みに組み合わせ、グラデーションや滲みなどを駆使することで、奇跡のような美しい世界が創造されるのです。


2.線の職人

プロとしてデビューする前に、ひたすらドローイングに打ち込んでいたフォロン。彼の描く線は伸びやかで躍動していますが、まるでそこに引かれることをあらかじめ決められていたかのように的確で、迷いが少しも感じられません。


3.謎のリトル・ハット・マン

フォロンの作品にしばしば登場するリトル・ハット・マン。今回の空想旅行の同伴者でもある彼はいったい何者なのでしょうか。フォロン自身は「私に似たある誰か」であると同時に「誰でもない」と言っています。じつはよく分かっていないのかも。
4.やさしい悪魔?
フォロンの作品は親しみやすく、爽やかでユーモラス。ついその世界に引き込まれてしまいます。でも油断は禁物です。やさしい微笑みの裏には、静かな怒りや厳しい現実が隠されているかもしれません。
5.矢印と迷宮
フォロンは矢印にとりつかれていました。町中で矢印を見かけると写真に撮り、作品にも至るところに矢印が描かれます。ところがその矢印ときたら、いったいどこを指しているのやら。矢印に従って進むと、かえって迷宮に入り込んでしまうようです。

■展覧会名/空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン
■会期/2024年7月13日(土)〜9月23日(月・振休)
■会場/東京ステーションギャラリー
東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
■開館時間/10時~18時(金曜日~20時)*入館は閉館30分前まで
■休館日/月曜日[ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館]、7月16日(火)
■入館料/一般1,500円、高校・大学生1,300円、中学生以下無料
*障がい者手帳等持参の方は200円引き(介添者1名は無料)
■主催/東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]、東京新聞、フォロン財団(ベルギー)
■TEL/03-3212-2485
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★申込み締切 7/19(金)12:00まで
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。

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