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【特集】自然と魂 利根山光人の旅 異文化にみた畏敬と創造【応募〆切 9/19】

自然と魂 利根山光人の旅異文化にみた畏敬と創造_世田谷美術館

利根山光人《フィエスタ》1977年、油彩・キャンバス、一般社団法人アルテトネヤマ蔵

色彩あふれる情熱的な作品で“太陽の画家”と呼ばれ、世田谷に長年在住した画家・利根山光人(1921-1994)。利根山はメキシコ、インド、中国、また日本の遺跡や祭儀を訪ね、土地や人と深くかかわり、その体験を創作の源泉にしました。没後30年を経たアトリエに遺された作品や資料は、画家の眼差しを携えてフィールドワークを重ねた利根山の姿を物語っています。古来、人類が自然と魂への畏敬や祈りから生み出してきた数々の造形。その原初のエネルギーに触れた利根山の旅と創作の軌跡を、油彩や版画、スケッチ、そして自らの手で採取した貴重なマヤ、アステカ遺跡の拓本やメキシコの蒐集品なども交えて辿ります。

展覧会概要

自然と魂 利根山光人の旅異文化にみた畏敬と創造_世田谷美術館

(左上) 利根山光人《祝祭》1978年、油彩・キャンバス、聖徳大学・聖徳大学短期大学部蔵
(右上) 利根山光人《律動》1976年、油彩・キャンバス、利根山光人記念美術館蔵
(左下)利根山光人《雨乞い》1987年、油彩・キャンバス、世田谷美術館蔵
(右下)利根山光人《生命の樹》1987年、リトグラフ、一般社団法人アルテトネヤマ蔵

利根山光人(1921-1994)は茨城県に生まれ、長く世田谷区にアトリエを構えた画家で、本展は当館では30年ぶりの回顧展です。利根山はメキシコとの関わりで紹介されることの多い作家ですが、このたび、約5年間にわたりアトリエに遺された厖大な版画やスケッチ、コラージュなどの作品群を調査するなかで、メキシコのみならずインドや中国、中東や欧米、そして日本各地の祭り、とりわけ古墳や遺跡に関心を寄せ、世界中に創作のイメージを求める姿があらためて浮かび上がってきました。遺された作品に向き合うと、まるで時空を超えた旅をしているかのような感覚を味わうことができます。
本展では、油彩約50点、版画約60点のほか、スケッチ約100点に加え、マヤ、アステカ遺跡の拓本やメキシコの蒐集品、記録写真など、総数250点を超える作品、資料で、多彩な利根山光人の仕事を紹介します。あふれるバイタリティと、自由で旺盛な好奇心で力強く歩みつづけた、利根山の創作の軌跡を辿ります。

展示構成

I 初期の仕事

1950年代の読売アンデパンダン展出品作をはじめ、力強く戦後復興に歩む日本社会の一側面を描きだした〈佐久間ダム〉シリーズの油彩、版画を含む初期作品を紹介。

Ⅱ メキシコへの旅

1959年に初めてメキシコへ渡った際に描かれたスケッチをはじめ、メキシコの古代遺跡に衝撃を受けた利根山が描いた作品を中心に展示。

Ⅲ 世界への旅

インドや中東、アジアの遺跡や祭儀、日本の装飾古墳など、世界各地に取材した作品を紹介。旅先でのさまざまな出会いをつうじて、人間のイマジネーションの原点を見つめた利根山のまなざしを辿ります。

Ⅳ 祭り―自然と魂への祈り

メキシコと日本、それぞれの祭りを題材にした作品を展示。双方の文化に宿る、根源的な人間の生きるエネルギーに強く触発されて描かれた、利根山の力強い絵画表現を紹介します。

Ⅴ ひろがる創造の世界

世界のさまざまな文化との出会いを経て生み出された利根山の自由で豊かな作品世界、そして最晩年の〈ドン・キホーテ〉シリーズを紹介。

特集展示 マヤ、アステカ遺跡の拓本

利根山光人が1960年代にメキシコ政府の許可を得て採集した、マヤ、アステカ遺跡の拓本(世田谷美術館蔵)を紹介。そのほか、メキシコの民族資料や民芸など、利根山が蒐集したコレクションもあわせて展示し、利根山の創造の源泉に触れることができます。

展覧会のみどころ

1.あらためて多彩な仕事に光をあてる、30年ぶりの大規模回顧展

1995年に当館で開催した「利根山光人展」から30年。この間、メキシコとの関わりで紹介されることの多かった利根山ですが、今回は「利根山光人の旅」をテーマに、メキシコだけでなく日本をふくむ世界各地のさまざまな文化をテーマとした作品も紹介します。ヨーロッパの洞窟壁画、インドの石窟寺院、九州各地の装飾古墳、東北の鹿踊りや鬼剣舞をはじめとした祭りや民俗芸能など、いずれも独特で魅力あふれる造形ばかり。それぞれの出会いに心を躍らせた利根山の感動が絵筆から伝わってきます。

2.アトリエに遺された初公開となる作品、資料を多数紹介

本展は、ご遺族のご協力のもと、2019年から5年間にわたり継続して行ったアトリエ調査を経て実現しました。展覧会では、アトリエに遺された取材旅行時のスケッチブックや写真など、初公開となる資料も多数紹介。1960年代から80年代にかけての風景や風習をとらえた貴重なドキュメントで、利根山が旅先で得た新鮮な印象を今もなお、そのままに感じることができます。これらの資料は何よりも、利根山の作品テーマをよく知るための手がかりとなるでしょう。

3.貴重なメキシコ古代遺跡の拓本を公開

1963年、特別の許可を得て利根山が採集したマヤ、アステカ遺跡の拓本。東京国立近代美術館で拓本展が開催されるなど、大きな反響を呼びました。現在、世田谷美術館コレクションとなっているこれらの拓本を本展では特集展示として紹介。拓本ならではの実物大のインパクトを味わえます。あわせて、利根山が蒐集したメキシコ先住民族の仮面やメキシコ民芸なども展示。時空を超えた異国のイマジネーションにあふれる空間を体験いただけます。

自然と魂 利根山光人の旅異文化にみた畏敬と創造_世田谷美術館

(左)利根山光人《王侯立像(拓本)》(メキシコ・チアパス州、ボナンパク遺跡、マヤ古典期A.D.780頃)、
1963年採拓、墨・和紙、世田谷美術館蔵
(右)利根山光人《立ち上るジャガー(拓本)》(メキシコ・イダルゴ州、トゥーラ遺跡、トルテカ後古典期―前期)、
1963年採拓、墨・和紙、世田谷美術館蔵

自然と魂 利根山光人の旅異文化にみた畏敬と創造_世田谷美術館

利根山光人 メキシコにて

利根山光人(1921-1994)
茨城県生まれ。1943年、早稲田大学卒業。在学中より川端画学校で学ぶ。1945年より世田谷区在住。1946年頃より石版画(リトグラフ)制作にも取り組む。読売アンデパンダン展に出品するほか、タケミヤ画廊で個展を重ねる。1955年、東京国立博物館のメキシコ美術展に衝撃を受け、1959年に初渡航。以後、生涯をつうじて日本とメキシコを行き来し、古代の遺跡やメキシコの祭り、民芸などを題材に作品を制作。また、南米やヨーロッパ、アジア各地を訪れ、日本国内では九州の装飾古墳をはじめ、東北地方を中心に全国各地の祭りも数多く描いた。1986年、日墨文化交流への貢献により、メキシコ政府よりアギラ・アステカ・ブラーカ最高文化勲章を受章。1975年、岩手県北上市にアトリエを設け、没後1996年に利根山光人記念館(現・利根山光人記念美術館)として開館。聖徳大学・聖徳大学短期大学部(千葉県松戸市)では30年以上にわたり教鞭を執り、学園内に多数の壁画作品も手がけた。

自然と魂 利根山光人の旅 異文化にみた畏敬と創造
■会期/9月13日(土)〜11月9日(日)
■会場/世田谷美術館(世田谷区砧公園1-2)
■時間/10時~18時(入場は17時30分まで)
■休館日/毎週月曜日
※ただし、9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館し、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)は休館
■観覧料/一般1,400(1,200)円、65歳以上1,200(1,000)円、大高生800(600)円、中小生500(300)円、未就学児は無料
※( )内は20名以上の団体料金。事前に電話でお問い合わせください。
※障害者の方は500(300)円。ただし、小中高大専門学校生の障害者の方は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料。
※高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種手帳をお持ちの方は、証明できるものをご提示ください。
※ご入館に際しては感染症予防のため、手指消毒にご協力ください。館内では充分な距離を保てない場合がありますので、他のお客様へのご配慮をお願いします。
※展覧会の会期および内容が、急遽変更や中止になる場合もございます。会期中の最新情報は美術館ウェブサイト等でお知らせします。
■主催/世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)
■後援/世田谷区、世田谷区教育委員会
■特別協力/一般社団法人アルテトネヤマ、聖徳大学・聖徳大学短期大学部

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★申込み締切9/19(金)12:00まで
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます


更新日:2025年9月3日(水)