東北から九州まで全国の「はにわ」が空前の規模で大集合!
埴輪とは、王の墓である古墳に立て並べられた素焼きの造形です。その始まりは、今から1750年ほど前にさかのぼります。古墳時代の350年間、時代や地域ごとに個性豊かな埴輪が作られ、王をとりまく人々や当時の生活の様子を今に伝えています。なかでも、国宝「埴輪 挂甲の武人」は最高傑作といえる作品です。この埴輪が国宝に指定されてから50周年を迎えることを記念し、全国各地から約120件の選りすぐりの至宝が空前の規模で集結します。素朴で“ユルい”人物や愛らしい動物から、精巧な武具や家に至るまで、埴輪の魅力が満載の展覧会です。東京国立博物館で約半世紀ぶりに開催される埴輪展に期待が高まります。
プロローグ|埴輪の世界
古墳時代の3世紀から6世紀にかけて埴輪が作られました。日本列島で独自に出現、発達した埴輪は、服や顔、しぐさなどを簡略化し、丸みをもつといった特徴があり、世界的にも珍しい造形として知られています。ここでは東京国立博物館の代表的な所蔵品のひとつである「埴輪 踊る人々」を紹介します。この埴輪は、東京国立博物館が創立150周年を機に、文化財活用センターとクラウドファンディングなどで寄附をつのり、2022年10月から解体修理を行いました。2024年3月末に修理が完了し、本展が修理後初のお披露目となります。
第1章|王の登場
埴輪は王(権力者)の墓である古墳に立てられ、古墳からは副葬品が出土します。副葬品は、王の役割の変化と連動するように、移り変わります。古墳時代前期(3〜4世紀)の王は司祭者的な役割であったので、宝器を所有し、中期(5世紀)の王は武人的な役割のため、武器・武具を所有しました。後期(6世紀)は官僚的な役割を持つ王に、金色に輝く馬具や装飾付大刀が大王から配布されました。このほか各時期において、中国大陸や朝鮮半島と関係を示す国際色豊かな副葬品も出土します。ここでは国宝のみで古墳時代を概説し、埴輪が作られた時代と背景を振り返ります。
第2章|大王の埴輪
ヤマト王権を統治していた大王の墓に立てられた埴輪は、大きさや量、技術で他を圧倒しています。天皇の系譜に連なる大王の古墳は、時期によって築造場所が変わります。古墳時代前期は奈良盆地に築造され、中期に入ると大阪平野で作られるようになります。倭の五王の陵としても名高い、大阪府の百舌鳥・古市古墳群は世界文 化遺産に登録されています。そして後期には、継体大王の陵とされる今城塚古墳が淀川流域に築造されます 。本章では、古墳時代のトップ水準でつくられた埴輪を、その出現から消滅にかけて時期別に見ることで、埴輪の変遷をたどります。
第3章|埴輪の造形
埴輪が出土した北限は岩手県、南限は鹿児島県です。日本列島の幅広い地域で、埴輪は作られました。それらの埴輪は、当時の地域ごとの習俗の差、技術者の習熟度、また大王との関係性の強弱によって、表現方法に違いが生まれています。その結果、各地域には大王墓の埴輪と遜色ない精巧な埴輪が作られる一方で、地域色あふれる個性的な埴輪も作られました。ここでは各地域の高い水準で作られた埴輪や、独特な造形の埴輪を紹介します。
第4章|国宝 挂甲の武人とその仲間
埴輪で初めて国宝となった「埴輪 挂甲の武人」には、同じ工房で製作された可能性も指摘されるほど、兄弟のようによく似た埴輪が4体あります。そのうちの1体は、現在アメリカのシアトル美術館が所蔵しており、日本ではなかなか見られません。今回、5体の挂甲の武人を史上初めて一堂に集め、展示します。なお、国宝「埴輪 挂甲の武人」は近年修理と調査研究が行われ、『修理調査報告 国宝 埴輪 挂甲の武人』(2024年、東京国立博 物館発行)として報告書が刊行されました。ここではその最新の研究成果も紹介します。
国宝 挂甲の武人 今よみがえる古墳時代の姿
第5章|物語を伝える埴輪
埴輪は複数の人物や動物などを組み合わせて、埴輪劇場とも呼ぶべき何かしらの物語を表現します。ここではその埴輪群像を場面ごとに紹介します。例えば、古墳のガードマンである盾持人、古墳から邪気を払う相撲の力士など、多様な人物の役割分担を示します。また、魂のよりどころとなる神聖な家形埴輪は、古墳の中心施設に置かれ、複数組み合わせることで王の居館を再現したのではないかと考えられます。このほか動物埴輪も、種類ごとに役割が異なります。この章の動物埴輪は、従来にないダイナミックな見せ方で展示します。
エピローグ|日本人と埴輪の再会
古墳時代が終わると埴輪は作られなくなりますが、江戸時代に入ると考古遺物への関心が高まり、埴輪がふたたび注目を浴びるようになります。著名人が愛蔵した埴輪、著名な版画家の斎藤清が描いた埴輪、埴輪の総選挙(群馬HANI-1グランプリ)で No.1になった埴輪など、芸術家や一般市民など幅広い層で埴輪が愛されています。ここでは近世以降、現代にいたるまで埴輪がどのように捉えられてきたかについて紹介します。
挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
◼️会期/10月16日(水)~12月8日(日)
◼️時間/9時30分~17時 ※毎週金・土曜日は20時まで開館。入館は閉館の30分前まで
◼️休館日/月曜日、ただし11月4日(月)は開館、11月5日(火)は本展のみ開館
◼️観覧料/一般2,100円(1,900円)、大学生1,300円(1,100円)、高校生900円(700円)、中学生以下無料
※( )は前売り
◼️会場/東京国立博物館 平成館(台東区上野公園13−9)
◼️主催/東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
◼️特別協賛/BANK OF AMERICA
◼️協賛/SGC、TOPPAN、パナソニック ホールディングス、三井住友海上
◼️特別協力/宮内庁書陵部
◼️協力/全日本空輸
◼️問合せ/050(5541)8600(ハローダイヤル)
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★申込み締切 9/20(金)12:00まで
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。
更新日:2024年9月4日(水)