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シリーズ「獣医が語る人と動物と社会」Vol.2

0105pet_b.jpgペットの存在が心身の健康維持に
 ペットに対して「コンパニオンアニマル」という呼び名を使うことがあります。コンパニオンアニマルとは伴侶動物の意味で、ペットを単なる愛玩動物ではなく家族同然に大切にするという考え方から、この呼び名が広がりました。高齢者がペットを飼育することには、さまざまなメリットがあります。世話をする対象があることで、自分が必要とされるのを感じ、散歩や食事を反復することで記憶力の維持を助けます。また、話す相手ができることで孤独感や不安を取り除くことができ、精神も安定します。ペットはまさに最高の伴侶なのです。
さらに、運動の頻度が増えることも大きなメリットです。犬なら朝夕のお散歩が必要ですし、猫も決まった時間に食事を用意したり、一緒に遊んだりとコミュニケーションが大切。実際に、ペットを飼っている高齢者の方が、飼っていない高齢者よりも身体的な活動度が高いこともわかっています。また、肥満の人を対象にした減量プログラムや、心臓病がある人に対するリハビリテーションプログラムにおいても、ペットを飼っている人の方が遂行率が高いという研究報告もあります。記憶力の維持、運動・会話は認知症の予防にも役立ちます。このように、ペットがもたらしてくれる効果は計り知れないのです。

ペットを預けられる施設も有効利用して
 ペットを飼うことでさまざまなプラス効果があることがわかっても、もし自分が病気になるなどして面倒を見られなくなったら...と躊躇する方もいるかもしれません。しかし最近は、保護犬や保護猫として次の飼い主さんを探してくれる団体もありますし、老犬であれば飼い主さんの代わりに生涯世話をしてくれる質の良い老犬ホームもあります。その他、飼い主さんのもしもの事態に備えることができるペット信託など、ペットが生涯しあわせに過ごし続けられる仕組みが整ってきています。犬や猫だけでなく、世話がしやすい小動物や金魚などもいいかもしれませんね。
ペットと暮らすことは、子どもの成長や情操教育にも良い影響を与えます。次回は子どもにとってのメリットをお話します。

<<< シリーズ「獣医が語る人と動物と社会」Vol.1(バックナンバー)


0105pet_d.jpgINFORMATION
 小滝橋動物病院グループでは、各分野に人の医療同様の専門医が在籍しています。それぞれの専門科において人の医療にできるだけ近づけ、1頭でも多くの命を救うべく各チームで邁進しています。獣医師・看護師ともに循環器科、整形外科、神経科、腎泌尿器科、人工透析科、腹腔鏡、画像診断科などにチーム体制で取り組み、それぞれの専門医が治療にあたっています。また、CTやMRI 、人工心肺装置や内視鏡手術装置、Cアームや手術顕微鏡、血液透析装置といった大学病院と同様の機器も揃え、高度先進医療を行っています。


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更新日:2022年3月2日(水)