*** VOL.09 ***
■■■ 子供の結婚式には何を着る?(前編) ■■■
今月、来月は2回シリーズで結婚式の母の衣装について書かせていただきます。
先日、ママ友から「娘の結婚が決まったの」と嬉しい報告をうけました。その際に、子供の結婚式で、どんな服装にしたらよいかと相談を受けたのです。
私たちの時代、結婚式の母親の衣装と言えば黒留袖が定番でしたが、あれから約30年、時は平成を経て、令和に入り、結婚式の様子も私達世代の時とは随分と様変わりしました。そこで、今回は、最近の結婚式のトレンドや母親の衣装の傾向についてのリサーチも兼ねて、紀尾井町に結婚式の母向けドレスの専門店「M&V for mother」さんにドレスの試着にうかがいました。
先ず最近の結婚式のトレンドに驚きました。結婚式・披露宴のスタイルの多様化です。私達の時代はホテルや専門式場がほとんどで、結婚式が大安吉日なら、複数の花嫁さんが同時に会場を行き来していたことも当たり前でした。ここ最近の人気は、貸し切り、1日2組限定など、プライベート感が強く、招待客の人数も、100名以上が当たり前だったバブル時代とは違い、多くて60名~70名、職場の上司を呼ばないで親しい友人のみということも珍しくなく、30名ぐらいで両家の親族だけという結婚式も人気だそうです。また、約90%の結婚式がチャペルで執り行われ、披露宴も金屏風を背にあつらえた高砂(たかさご)スタイルではなく、ガーデンパーティーや、ゲストハウスと呼ばれる素敵な洋館でのパーティー、プールサイドでリゾート感満喫など、志向も多様化しているようです。
次に、母親の衣装の傾向について伺いました。最近の傾向は、「結婚式がチャペルウエディングで洋風なのに、私だけ黒留袖(和服)って違和感があり、また着物は着慣れないので、洋装にしたい」と言う方が増えているとの事です。それもそのはず、まるで海外ドラマに出てくるような素敵な会場での結婚式なら、「自分もドレスアップしようかしら」と私たち世代も気分がワクワクしてくるのも無理がないと思います。
ここで、問題になるのは、「母親としてどんな服装を選べばいいのかしら?」ということです。そこで、お店のスタッフさんに、衣装を決める際のポイントを伺ってきました。 お母様の衣装を決めるうえでの大事なポイントは5つ!
1. 式場の格に合わせる
披露宴の形態は様々です。式場の種類は大まかに、外資系ホテル、国内系高級ホテル、専門式場、ゲストハウスウエディング、レストランウェディング、リゾートウェディングなどが一般的です。この中で、一番注意して頂きたいのが、ゲストハウスウエディングと呼ばれる形態で、プライベート感あふれる演出が人気です。こういったゲストハウスウエディングは、実は有名高級ホテルでの結婚式と同等あるいはそれ以上の費用がかかる場合がほとんどです。なので、聞いたいことの無い結婚式場だからと言ってカジュアルな略礼装ではなく、正礼装での装いが相応しいそうです。全ての式場で正礼装であるフォーマルファッションが求められるとは限りませんが、結婚式という正式な場にカジュアルすぎる装いは参列者の方に失礼にあたるので、お子様の結婚式がどのような場所、予算で行われるのか、しっかりとお子様に確認する必要がありますね。
2. お父様の衣装の格に合わせる
結婚式と言えば、女性が主役!と思いがちですが(現にそうだと思いますが...苦笑)、フォーマルファッションのルールでは、常に、男性の衣装の格に女性の衣装の格を合わせることがルールです。具体的には、結婚式でのお父様の御衣装は、モーニングコート(略してモーニングともいう)が一般的です。フォーマルファッションルールでは、モーニングコートは男性の昼間の正礼装となります。したがって、その隣に並ぶお母様の衣装として同格な衣装は、露出を控えたロング丈の正礼装フォーマルドレスとなります。一方、もしお父様がモーニングコートではなく、ディレクターズスーツ、ブラックスーツなどの準礼装をお召しになる場合は、お母様も華やかなジャケットに黒のスカートと言った準礼装のフォーマルウェアやお出かけ用のワンピースなどをお召しになってもよいと思います。
3. 御両家の服装の格式を合わせる
結婚式の場合、相手のご両親が何を着られるかということも考える必要があります。相手のお母様が黒留袖と正礼装なのに、こちらのお母様がジャケットに黒いワンピースや、色の違うボレロを羽織ったロングドレスなどの準礼装の装いですと、ご両家のご衣裳の格が合いません。黒留袖は和装の正礼装ですから、それとバランスの合う洋装は、正礼装のフォーマルドレスとなります。お昼間の結婚式の場合は、膝丈でもファッションマナー違反ではありませんが、膝丈のフォーマルドレスですと、両家が揃ったとき、あるいはお写真を撮られる際に並ばれたときに、バランスが悪く見えてしまうので、くるぶしが隠れるロング丈のフォーマルドレスがおススメです。また、お父様同士の服装も「格」を合わせることが必要です。相手のお父様が正礼装のモーニングコートを着られているのに、こちらのお父様が準礼装のディレクターズスーツ、あるいはブラックスーツですと、これもやはり格式が違いますから、バランスが悪く見えてしまいます。
4. お式の季節を考える
お母様の御衣装のご準備は、早い方ですと、3〜6カ月くらい前には、ご試着して決められます。そうなると、ご試着のときは夏でも、実際のお式は冬ということもあります。ご試着のときは8月で暑かったので、半袖でも違和感がなかったけれど、11月の挙式当日になってみると、何となく肌寒い印象を感じるということもあります。もちろん式場は快適な室温に設定されていて、半袖でも決して寒いことはないのですが、季節が違うと、ふさわしい服装も違ってくるという点を考慮して、デザインや生地の素材を選ぶことが必要でしょう。
5. 新郎新婦の意向を聞く
結婚式の最近の傾向で顕著なことは、新郎新婦のお母様にスポットを当てた演出が増えていることです。これは、新郎新婦にとって、ご結婚式を行う一番の理由に、自分達の両親に感謝の気持ちを表す場にしたいとなっていることからもうかがえます。特に人気の演出は新婦の父とバージンロードを歩く前に、新婦の母によって執り行われる、「ベールダウン」と言う儀式です。この「ベールダウン」に映える衣装にしてほしいという花嫁の希望が増えているそうです。なので、先ずは、事前に新郎新婦に親の衣装について、希望があるかどうかを確認することが大切です。結婚式では、ご招待したお客様にご両親をお披露目する機会でもあるのです。ですから、新郎新婦のご意見はとても大事。 やはり、お子様が「ママ綺麗!」「パパ格好いい」と言ってくれるような服装で参列したいものです。
さて、「お母様の衣装を決めるうえでの大事なポイントは5つ」が頭に入ったら、待ちに待ったドレス選びです。
来月のコラムはマダムのり子流、結婚式での母の装いをお伝えいたします。
パーソナルスタイリスト
信田 教子(のぶた のりこ)
専業主婦から50歳で資格を取り、パーソナルスタイリストに。悩みが生じてくる50代こそスタイリングで自分を変えられるという信念の基、メンタリティーをあげるコーディネートのお手伝いをしている。ショッピングアテンド、ショッピングクルーズ、ワードローブ診断、各種講座を開催。ショップチャンネルのゲスト出演も務めるなど幅広く活躍中。
更新日:2019年9月4日(水)