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第45回 松坂もめん

第45回 松坂もめん

天然藍の先染め糸を使用して縞柄を織り上げる「松坂もめん」。江戸時代には庶民の普段着として大流行したくさんの人に愛された染織物です。

きものコラム_レディ東京

江戸で大流行した「松坂もめん」

藍染の縞柄がとても粋な「松坂もめん」。江戸時代、倹約令によって庶民が華やかなきものを着ることを禁じられました。そこで一見、遠くから見ると無地に見えても、近くに寄ると多種多様な縞柄模様がとてもお洒落だということで「松坂もめん」が江戸っ子に人気になりました。当時の江戸の人口が100万人のところ50万もの反物の売り上げがあったということですから、大変な人気ぶりだったことが伺えます。
それには柄がお洒落というだけでなく、良質な綿で紡織技術もすぐれていたことも人気の理由です。というもの5世紀後半頃、松阪市東部に機織りの技術集団「漢機(あやはとり)」、「呉織(くれはとり)」が大陸から渡来。紡績と機織の技術を土地の人に伝えました。以来、松坂の地は古代日本で紡織の中心地となりました。
紡織技術の高さから文武天皇より氏族として「連(むらじ)」の姓を授けられ、服連(はとりのむらじ)、麻続連(おみのむらじ)として、伊勢太神宮へ織物の献納をしていました。

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「松坂もめん」の柄のルーツはベトナムにあり

「松坂もめん」の縞柄模様のルーツは当時の案南国だったベトナムの中央部、日本人街も残っているホイアン付近で織られていた柳条布(りゅうじょうふ)にあると言われています。柳条布は細かな筋が入った模様でその模様は松坂もめんでも最も古い古典柄です。縞(シマ)と呼ばれるのは、嶋伝いに渡ってきたということに由来しているそうです。ホイアンの名物麺料理「カオラウ」は伊勢うどんを真似て作られたと言われていて、古くから互いの文化に影響を与えあっていたことに驚かされます。
木綿は通気性・吸水性に優れ、サラッとし着心地が良いのが特徴です。また、洗濯をするたびに生地が柔らかくなり肌馴染みが良くなります。さらに藍色は日本人の老若男女誰もが似合う色。機会があれば「松坂もめん」を身にまとってみてはいかがでしょうか。
(レディ東京ライター/近藤洋子)


更新日:2024年9月18日(水)