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【特集】スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照【応募〆切5/8】

スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照_東京ステーションギャラリー
全作品 日本初公開!

東京ステーションギャラリー(東京都千代田区丸の内1-9-1[JR東京駅 丸の内北口 改札前])では、「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏(くら)き残照」展を、年6月21日(日)まで開催中です。
20世紀前半のスイスで活躍した異才カール・ヴァルザー(1877–1943)は、ベルン近郊のビールに生まれました。1歳下の弟ローベルトは作家になり、のちにその著作にカールが挿絵を描いています。20代でベルリンに出たヴァルザーは、革新的な表現を目指したベルリン分離派に加わり、象徴主義的な絵画作品をいくつも残しています。そこはかとない昏(くら)さと精妙な色彩をあわせもつその作品群は、謎めいた神秘性を湛え、見る者を惹きつけてやみません。
カール・ヴァルザーの生涯で特筆すべきことは、彼が日本を訪れて制作をしていたことでしょう。1908年にドイツの小説家ベルンハルト・ケラーマンとともに来日したヴァルザーは、東京や宮津(京都府)などに滞在して、熱心に日本の風景や風俗を描きました。これらの作品は当時の様子を伝える貴重な資料であると同時に、美術的にも非常に優れた見応えのあるものばかりです。その多くは水彩で描かれていますが、これまでほとんど公開されてこなかったために、驚くほど鮮やかで美しい色彩を残しています。本展は、これらの仕事に加えて、挿絵や舞台美術、壁画でも活躍したヴァルザーの全貌を伝える画期的な試みです。全作品約150点が日本初公開となります。

スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照_東京ステーションギャラリー

《隠者》1907年 チューリヒ美術館


謎めいた神秘性を湛える、
初期の象徴主義的作品群


知られざる画家



カール・ヴァルザーの名を知る人は、美術業界においても決して多くはありません。母国スイスでは、近年その再評価が始まっていますが、知名度のかなり低い画家と言っていいでしょう。東京ステーションギャラリーでは、これまでも美術史の中で見過ごされてきたアーティストの展覧会を数多く開催してきました。※1) 作品の価値や魅力は、その名が知られているかどうかとは関係がありません。最初に彼の作品を見たとき、わたしたちはその鮮烈さにすっかり魅了されました。そして多くの人とこの感動を分かち合いたいと思ったのです。会場に足を運んでいただければ、その魅力を理解いただけるはずです。
※1 「大野麥風展」(2013年)、「幻の画家 不染鉄展」(2017年)、 「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜」展(2021年)、「宮脇綾子の芸術」展(2025年)など

スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照_東京ステーションギャラリー

(左上)《森》1902–03年 新ビール美術館
(右上)《テラスからの眺め》1900年頃 個人蔵
(左下)《人形の乳母車と少女》1905年以前 新ビール美術館
(右下)《デルフトの街角》1907年 個人蔵

初期ベルリン時代


1877年に、スイスのベルン近郊にあるビールで生まれたカール・ヴァルザーは、シュトラスブルク※2) の美術工芸学校で学んだあと、1899年からベルリンを中心に活動しました。1902年に、マックス・リーバーマンが会長を務めるベルリン分離派※3) の展覧会に初出品し、翌年には会員になります。本の装幀や挿絵、舞台美術、壁画などの仕事をする一方で、この時期には象徴主義的な絵画にも取り組みました。鮮烈でありながら、世紀末の残照とでも言うべき昏(くら)さをともなう、寓意や含意を感じさせる神秘的な作品群は、観る者を強く惹きつける力をもっています。
※2 現在のストラスブール(フランス)、当時はドイツ領だった
※3 アカデックな伝統から離脱して、新しい造形芸術を志向した分離派は、最初ミュンヘンで創設され(1892年)、ウィーン(1897年)、ベルリン(1898年)へと波及した

日本の風景と風俗、
芸妓や歌舞伎を描いた美しい水彩画
120年前の日本が鮮やかに甦る

日本滞在


1908年、ヴァルザーはドイツの出版社に依頼されて、小説家のケラーマン※4) とともに日本を訪れます。ケラーマンが書く日本紀行のための挿絵を描くのが目的でした。※5) 4月から約半年に及ぶ滞在期間中にふたりは日本各地を巡りますが、大いに気に入って長逗留したのが宮津(京都府)です。ヴァルザーはこの街で、芸妓や舞妓、歌舞伎役者や市井の人々の姿を、生き生きとした筆致と美しい水彩で描きとめています。これらの作品は、京都の風景や祭を描いた重厚な油彩画とともに、120年前の日本の姿を鮮やかに甦らせます。
※4 ベルンハルト・ケラーマン(1879-1951)、ドイツの作家。資本主義を批判した『トンネル』(邦訳は国書刊行会から出版)が有名
※5 『さっさよやっさ』(カッシーラー書店、1911年)

スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照_東京ステーションギャラリー

(左)《歌舞伎の女形(《歌舞伎の一場面》のための習作)》1908年 ベルン美術館(友の会) ©Kunstmuseum Bern
(右上)《祇園祭、京都・八坂神社》1908年 新ビール美術館
(右下)《京都先斗町の鴨川納涼床》1908年 ゴットフリート・ケラー財団(新ビール美術館寄託)

領域を超えた多彩な仕事

挿絵と舞台



ヴァルザーは生涯を通じて、挿絵や舞台美術、室内装飾や壁画の仕事で生計を立てていました。ドイツとスイスにはいくつもの壁画が現存していますし、舞台美術の分野ではシェイクスピアはじめ多くの作品でセットやコスチュームのデザインを担当しました。コスチュームのデザイン画は、まるでファッション画のような華やかさをまとっています。また、装幀や挿絵でも、ひとつ下の弟で詩人として名を馳せたローベルト※6) の本をはじめ、少なくない仕事を残しました。多くはエッチングによるものですが、その巧みな線描表現も本展の見どころのひとつです。
※6 ローベルト・ヴァルザー(1878-1956)邦訳に『日々はひとつの響きヴァルザー=クレー詩画集』(平凡社、2018年)などがある

スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照_東京ステーションギャラリー

(上段左)《『フィガロの結婚』変装する小姓》1911年 新ビール美術館
(上段中央)《『フィガロの結婚』小姓》1911年 新ビール美術館
(上段右上)《『ホフマン物語』ジュリエッタの幕、仮面パーティー》1911年 新ビール美術館
(上段右下)《『ロミオとジュリエット』乳母》1907年 新ビール美術館
(下段)《『ラ・ボエーム』学生と少女たち》1911年 新ビール美術館

■展覧会名/スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照
■会期/4月18日(土)〜6月21日(日)
■会場/東京ステーションギャラリー
東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
■開館時間/10時~18時(金曜日~20時)※入館は閉館30分前まで
■休館日/月曜日[ただし、5月4日、6月15日は開館]
■入館料/一般1,800円、高校・大学生1,300円、中学生以下無料
*障がい者手帳等持参の方は、一般1,300円、高校・大学生1,100円[ともに介添者1名は無料]
■主催/東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]
■後援/在日スイス大使館
■協賛/T&D保険グループ、スイス インターナショナル エアラインズ、スイス ワールドカーゴ
■企画協力/キュレイターズ
◎都合により開催内容が変更になる場合があります
■TEL/03-3212-2485

東京ステーションギャラリー

東京ステーションギャラリー(外観)

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更新日:2026年4月22日(水)