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シリーズ「獣医が語る人と動物と社会」Vol.1

0105pet_b.jpgペットの存在が与えるメリット
 ペットは私たちの生活の中に溶け込んで、日常に喜びや癒しをもたらしてくれる存在です。飼ったことのある人なら誰でも経験があると思いますが、実際、動物と触れ合うことで、疲れが一気に軽減されたり、ほっと心が癒されたりします。これは、「幸せホルモン」「癒しホルモン」などと呼ばれるホルモンが活発になるためで、科学的に証明されている癒し効果です。しかし、それ以上に注目したいのは、ペットを飼うことによって健康寿命が伸び、認知機能が向上すること。また子どもの場合は、ペットと暮らすことで思いやりや優しい心が育つだけではなく、思考力、理解力、判断力などがアップすると報告されていることです。

動物と暮らすということは
 昨年来のコロナ禍で人と会う機会が減り、安らぎを求めてペットを飼う人が増加しました。しかし残念なことに、飼いきれずに飼育を放棄する人も増えています。一時の感情に押し流されてペットを飼うと、人もペットも不幸になります。ペットは物ではなく命だということを忘れてはなりません。当然のことながら、ペットを迎え入れるということは、食事や排泄の世話、健康管理、しつけなどの責任が伴います。病気になれば病院代もかかります。ペットを購入したときの金額より、その後の費用の方がはるかに大きいのです。そういうことを全部含めて、ペットを迎えるには覚悟が必要なのです。飼育環境が整い、飼い主の心構えや正しい飼い方に対する知識があってこそ、動物と暮らすメリットを受け取ることができるのです。

日本はペット飼育の後進国
日本は欧米に比べ、ペット飼育の歴史は浅く、ペットを家族として飼育する文化が社会に根付いていません。そのため、ペットのしつけ、飼い主のマナー、適切な飼育環境、適切な繁殖や販売方法、ペットに対する社会的許容、ペット可住宅の少なさなど問題は山積で、土台がまだまだ未熟といえます。こういった社会環境を整えると同時に、飼う人の努力も必要になりますね。


0105pet_d.jpgINFORMATION
 小滝橋動物病院グループでは、各分野に人の医療同様の専門医が在籍しています。それぞれの専門科において人の医療にできるだけ近づけ、1頭でも多くの命を救うべく各チームで邁進しています。獣医師・看護師ともに循環器科、整形外科、神経科、腎泌尿器科、人工透析科、腹腔鏡、画像診断科などにチーム体制で取り組み、それぞれの専門医が治療にあたっています。また、CTやMRI 、人工心肺装置や内視鏡手術装置、Cアームや手術顕微鏡、血液透析装置といった大学病院と同様の機器も揃え、高度先進医療を行っています。



● PRESENT ●

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更新日:2022年1月5日(水)