きもの

第16回 フォーマルは着物に限る

■ 第16回 フォーマルは着物に限る ■


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絹の質感に叶うものはない

結婚式やパーティーなどのフォーマルな場に招待されると、何を着ていこうか悩みますね。若いお嬢さんならプチプラのドレスを着るのも可愛くてよいと思いますが、立派な大人はそういうわけにはいきません。デザインはもちろん素材も上質でしっかりしているものを選びたいし、そうなるとそれなりにお値段も張ります。でも、たとえハイブランドのドレスを着たとしても、日本人の体型で着こなすのは難しく、せっかくの服もどこか借りてきたもののようでしっくりしない印象になりがちです。その点、きものは日本人をもっとも美しく見せてくれる衣裳です。オールシルクの光沢や質感、意匠のすべてがゴージャスで、どんな素晴らしいドレスにも負けない堂々たる風格と存在感があります。

パーソナルファッションディレクターの女性の還暦祝いのパーティーに招かれて、久しぶりに華やかな場所に行くことになりました。40名ほどのパーティーで、ドレスコードは「サムシングレッド」。そこでパッと浮かんだのが紅白の水引の帯締めです。1本の半分が赤、半分が白で組んであるチョット遊び心のあるデザインなのですが、還暦祝いのパーティーにはピッタリでしょう。結婚式と違って気軽なパーティーなので、こんな小物を選ぶのが楽しいかなと思うのです。きものは何を着ようかまだ迷っていますが、黒地の綸子にマーガレットの大きな柄が染められたヴィンテージが第一候補です。このきものは、本来なら年齢に合わないもの。逆にいえば気軽なパーティーでしか着られないようなものなので、この際思いっきり遊んでしまおうと思うのです。

余談ですがかんざしの話

 

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 フォーマル繋がりでかんざしの話。娘たちの七五三や成人式の時、私は伝統的な江戸つまみかんざしを求めました。出会いはあるデパートの職人展。巷には比較的安価な今どきのかんざしもありますが、「伝統」「職人」という言葉に弱い私は、娘たちのハレの日のために、ぜひ職人さんが作った本物のつまみかんざしを選びたいと思ったのです。職人さんの技が生み出す繊細なかんざしは、今どきのかんざしにない美しさがあります。
最初に購入したのは長女の7歳の七五三の時で、写真右のポンポン菊のような形のもの。赤い糸で作られた長い房が付いていて、とてもかわいらしいデザインです。その後、成人式のために購入したのが左の鶴・南天・松の3つ。赤い振袖にとても似合っていました。かんざしは、それぞれ次女の時にも使い、友人のお嬢さんの七五三や成人式でも活躍しました。今もきれいなままの状態で保管してあるので、孫の成人式にも使えるでしょう。伝統的な良いものは、何年経っても色褪せることはないのです。

(文/レディ東京編集者 中島有里子)

 

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更新日:2022年2月2日(水)