vol.9 秋は心静かに月を愛でる
〜お月見団子は豆腐使用でヘルシーに〜
●● はじめに ●●
澄んだ秋空に虫の声が美しく響く季節がやって参りました。 この季節は月が一年で一番美しく輝く季節でもありますね。 そんな季節は、せっかくなので美味しい月見団子も手作りしてお月見を楽しみたいと思います。
●● お月見について少し復習 ●●
お月見は平安時代、遣唐使によって中国より持ち帰られた習慣のひとつとされています。 当初は、貴族たちが管弦とともに楽しんだり、池に舟を浮かべ水面に映る月を楽しんだそうです。雅な遊びですね。江戸時代に入り一般庶民にも広まると、豊作祈願・収穫祭としても親しまれるようになる中でススキや月見団子をお供えする様に。 お月見と言えば「十五夜」ですが、これは旧暦8月15日(今年2018年は9月24日)の夜の事で、中秋の名月(旧暦の秋にあたる7〜9月の真ん中に出る月)やこの頃に収穫される芋や豆にちなんで芋名月、豆名月などとも呼ばれます。一方「十三夜」は旧暦9月13日の事を指し、その月は十五夜に次いで美しいと言われています。こちらは日本特有の習慣で、栗の収穫時期に当たる事もあり栗名月とも呼ばれます。
月見団子と一緒に「ススキ」をなぜ飾るかと言うと、神様を招く依り代となる稲穂の代用品として供えられる事に加え、ススキの切り口が鋭いので魔除けの意味も兼ねているそうです。
●● 簡単&ヘルシーな月見団子の作り方をご紹介 ●●
〜材料は豆腐(絹・木綿どちらでも)と白玉粉だけ〜
1. 豆腐1 : 白玉粉1 をよくまぜてお好みのサイズに丸めて茹でます
2. お団子が浮いてきたら、そこから更に2〜3分程度茹でます
3. 茹であがったら冷水にとり、熱がとれたら水気を切ります
何とも簡単!ヘルシーでもちもちなお団子ができあがります!
●● お月見団子の供え方を確認 ●●
十五夜は15個、十三夜には13個のお団子を供えます。
十五夜の場合は下から9個・4個・2個、十三夜の場合は下から9個・4個と積みあげます。
また、自分達が楽しむためではなく、あくまでも月が主役ですので、日本に古来より伝わる左上位(左を右よりも上位とする)の考え方に則って、月から見て左に自然界のもの(ススキや収穫物)、右に人工のもの(月見団子)を供えるのが正しいそうです。
●● 終わりに ●●
月を見上げる際にいつも思いだすのが「月に住むと考えられている生き物は国によって違う」という事です。日本では「餅をつくウサギ」と言われていますが、ヨーロッパでは大きなハサミの蟹であったり、アラビアでは吠えるライオンであったりするそうです。面白いです。世界中の人々がそれぞれの場所でそれぞれの思いを胸に同じ月を眺めていると思うと、熱いものが込み上げて参ります。日本だけでなく世界各地で自然災害の多い昨今です、澄んだ秋空に輝く月に世界平和も願いたいですね。
歳時記・和菓子研究家 柳澤ゆり子
パリへ行く!と思い立ち仕事を辞めて渡仏。自国の文化を学ぶ必要を強く感じ、帰国後は着物・煎茶道・和菓子・折形・風呂敷・金継などを学ぶ。ほんの一滴、和のエッセンスを加える事で潤う日々の暮らし。花・茶・和菓子といった身近なアイテムを取り入れることで、四季を感じる暮らしをもっと楽しんでいただけたら、そんな想いで地元鎌倉を中心に活動中。モットーは「美味しく楽しく美しく」。
京都造形芸大(通信)和の伝統文化コース卒業/日本茶アドバイザー/風呂敷愛好家
更新日:2018年9月5日(水)