ペットが子どもの思考力、理解力、判断力を育てる
一緒にいてくれるだけで幸せな気持ちにさせてくれるペットたち。動物たちと触れ合うことは、子どもの情操教育にも良いことが知られています。今回は、小滝橋動物病院の中村泰治先生に、ペットを飼うことで子どもたちが得られるメリットについて話を聞きました。
子どもの心が豊かに育つ
ペットを飼うことのメリットとして、子どもの心が豊かに育つことが挙げられます。子どもが成長する時期に家庭にペットがいると、子どもがやさしく健やかに育ちます。ペットの存在が子どもの成長にプラスの影響を及ぼすことを示した研究は数多くあります。たとえば、保育園児を対象に、クラスに動物のぬいぐるみを置いた場合と本物の犬を置いた場合とで比較しました。本物の犬を置いたクラスでは、子どもたちは犬に触れたり話しかけたりして親密な関係が生まれました。その結果、子どもたち自ら積極的に目的を達成しようと行動する傾向がみられ、教師の指導も少なくなりました。この研究から、動物と触れ合うことによって、子どもの考える能力や理解力、判断力や実行力などが発達する可能性が示唆されます。
子どもの自尊心を育てる
別の研究では、思春期の児童に対するペットの効果についても調べられています。アメリカのミシガン州で10歳〜14歳の子どものいる285の家庭を対象に行った研究では、思春期の子どもはペットを飼育していると自尊心が高まり、特に犬ではその傾向が強いことがわかりました。小学校に招かれて動物に関する授業をする機会があるのですが、そこで話すとき、動物が子どもに与えるプラス面を実感します。低学年の子どもたちが目をキラキラさせて一所懸命聞き入る姿に、担任の先生がいつも驚いています。いつもは落ち着きのない子どもたちにとって、動物はとても興味深い存在なのです。言葉を喋らない動物との触れ合いは、共感力を生み、相手を思いやる、相手の気持ちを考えるきっかけにもなります。また、生と死を間近に学ぶチャンスでもあります。大事に飼っていたペットを失うことで、命の尊さや他者への感謝が芽生えます。
ストレスに強い健康な子どもに育つ
ほかにも、運動量が増え肥満を防いだり、セラピー効果からストレスに強くなるなど、子どもの成長にとって計り知れないメリットがあります。きょうだいのような親密な存在として、さまざまな影響を与えてくれるのです。
INFOR MATION
小滝橋動物病院グループでは、各分野に人の医療同様の専門医が在籍しています。それぞれの専門科において人の医療にできるだけ近づけ、1頭でも多くの命を救うべく各チームで邁進しています。獣医師・看護師ともに循環器科、整形外科、神経科、腎泌尿器科、人工透析科、腹腔鏡、画像診断科などにチーム体制で取り組み、それぞれの専門医が治療にあたっています。また、CTやMRI 、人工心肺装置や内視鏡手術装置、Cアームや手術顕微鏡、血液透析装置といった大学病院と同様の機器も揃え、高度先進医療を行っています。