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柳澤ゆり子『和のある暮らしを楽しむ』


vol.3 《 紋様に願いを込める 》

別名、弥生、花月、桜月などとも呼ばれます3月は、桜が咲くのはまだかしらと待ち望むわくわくする季節であるとともに、4月からの新年度に向けて新しい出発・旅立ちを迎える方の多い季節でもあります。新しいステージへと旅立つ仲間・お子さんやお孫さんに贈るお祝いや餞別の品に、文様の持つ意味も添える事ができたら贈る側もより幸せです。贈りたい言葉を、ひと言したためる一筆箋やお気持ちを包んでお渡しするための封筒などを選ぶ際には、文様の意味を知った上で伝えたい思いや願いをプラスいたしましょう。

〜アイテム別に少しだけ〜

◆封筒類......直接相手の目にふれるものなのでぜひ想いを込めたいところです

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◆葉書・一筆箋......長い文章は苦手でも一言二言なら書けますね。
文章を書く事の少なくなった現代ではありますが、
物やお金を贈る際にほんのひと言でも言葉が添えてあると嬉しいものです。

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◆懐紙......封筒がなくても懐紙をバッグに忍ばせておけば急な事があっても安心。
お金を包んだり一筆箋代わりにしたりと優れものです!

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〜紋様の意味を少しだけ〜

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◆桜......日本人の一番好きな花であると言っても過言ではない桜は春の代名詞でもありますが、
一斉に咲き誇る姿から「繁栄」「輝かしい未来」などの意味が込められます。
また、田んぼ(稲)の神様は春になると山から降りていらして
桜の樹を依り代とすると考えられています。

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◆麻の葉(左上)......成長の早い麻の葉に子供の成長を願います。赤ちゃんの産着によく使われますね。
◆青海波(左下)......絶え間なく続く波に平穏・未来永劫を願います。ペルシャからシルクロードを渡って日本へも伝わったと言われています...ロマンを感じますね。
◆唐草(中)......生命力の強い蔓に子孫繁栄や長寿を願います。
◆松竹梅(右上)......一年中緑を保つ松は不老長寿の象徴、冬でも青々としてしなやかな強さを持つ竹は子孫繁栄の象徴、寒い中にあって真っ先に花を咲かせる梅は気高さの象徴とされています。
◆瓢箪(右下)......末広がりの形から古代より縁起物とされた他、様々な作物の種入として用いられた歴史から、瓢箪の中に入れた種は必ず芽がでる=チャンスは必ず巡ってくるに通じると考えられています。

◎何気なく選んでしまうぽち袋や一筆箋ですが、描かれている紋様の意味を知り・選び、せっかくですのでお贈りする方の幸せや健康を願う気持ちも込めてお渡ししたいですね。

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◎ P R O F I L E ◎

yanagisawa_pro.jpg歳時記・和菓子研究家 柳澤ゆり子

パリへ行く!と思い立ち仕事を辞めて渡仏。自国の文化を学ぶ必要を強く感じ、帰国後は着物・煎茶道・和菓子・折形・風呂敷・金継などを学ぶ。ほんの一滴、和のエッセンスを加える事で潤う日々の暮らし。花・茶・和菓子といった身近なアイテムを取り入れることで、四季を感じる暮らしをもっと楽しんでいただけたら、そんな想いで地元鎌倉を中心に活動中。モットーは「美味しく楽しく美しく」。

季節の和菓子と日本茶を楽しむ会・風呂敷塾を主宰。
京都造形芸大(通信)和の伝統文化コース卒業/日本茶アドバイザー/風呂敷愛好家

更新日:2018年3月7日(水)