きもの

第13回 母のきものを私らしく着る

■ 第13回 母のきものを私らしく着る ■


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新しいものを足すのがポイント

自分できものを持っていなくても、実家に帰ればタンスの中に家族のきものが眠っているという方は多いのではないでしょうか。私の実家にも、母のきものがたくさんありました。きもの好きの母は普段からよく着ていたので、よそゆきの立派なものではなく紬が多かったのですが、そんな中から私が着られそうなものを貰ってきて最初はそれで練習していました。
きものに流行はないと言う人もいますが、そんなことは全然なくて、やはり時代感というものがあります。明治には明治の、大正には大正の、昭和には昭和の色があるのです。そのため、古いきものや帯に小物まで古いものを使うと、どうしても古臭く、野暮ったくなりがちです。流石に明治や大正のきものを着ようという人は少ないと思いますし、そこまで古いと布が弱くなっていることがあるので着用には向かないかと思いますが、安心して着ることができる昭和のきものでも、ひと工夫が必要です。

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昭和感のあるきものを自分らしく着るなら、どこかに新しいものを入れることをおすすめします。イチオシは、挿し色として存在感を発揮する無地の縮緬の帯揚げ。数千円で手に入るので、いい色を見つけたら買っておくと便利です。白地のものを買って好みの色に染めてもいいと思います。私は新しい色を見つけると買っていたので、いつの間にか20色以上集まって重宝しています。無地の縮緬がいいのは、色目がはっきりしていて、コーディネート全体を締める役割をしてくれるところです。帯締めも、無地を何色か持っていれば結構おしゃれのバリエーションを楽しめます。


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 身内のきものを受け継ぐとき、寸法が合わないという問題が生じます。母は私よりかなり小柄だったので身丈も裄も短く、直さなければ着られません。好みの色柄なら直してでも着るところでしたが、そうではなかったので結局自分好みのきものを買うことになりました。その際に大いに利用したのが古着屋さん、フリマサイト、オークションサイトです。ネットできものを探すのは初心者には難しいと思いますが、古着屋さんなら試着もできますし、色々と親切に教えてくれるので安心して購入できます。 きものは長く着られるようにできています。解けば元の反物に戻すことができるので、親が着たものを解いて娘のために仕立て直す、それをまたその子どもが着るというように、長く大切に受け継いできました。でも今の時代、それが必ずしも身内のきものでなくてもよいと思うのです。誰かが作ったきものを、好みの合う別の誰かが受け継ぐということで、日本のきもの文化が続いていけばよいのではないでしょうか。 (文/レディ東京編集者 中島有里子)

 

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更新日:2021年11月3日(水)