■■ 第19回 きもののヘアスタイル ■■
■■いつものヘアスタイルで
「きものを着るには美容院へ行かなくてはいけない」と思っている方は多いのではないでしょうか。ただでさえ敷居が高いと感じる方の多いきものを、ますます遠ざけてしまう理由のひとつとして、髪型があるのではないかと思います。そもそも、きれいに和髪を結ってきものを着ることが今の時代に合ったお洒落なのかな、とも思うのです。もちろん、伝統と格式が重んじられるお茶席や結婚式など特殊なシーンでは、髪もそれなりにきちんと結われていた方が美しいのですが、その場合でも大きめのアップにするとどこか古臭く、野暮ったい感じになりがちです。そこは美容師さんの腕とセンス次第ということになるのでしょう。特別なシーンではなくファッションとしてきものを着る場合は、あまり決めすぎない方がステキに映ると思うのですがいかがでしょうか。
40代以降では髪を長くしている人は少数で、肩より短い人が多いように思います。髪が短い人はきものを着るのにとても便利です。ショートでもボブでも、特に何もせずそのままで格好いいし、さり気なさがあって着慣れた印象になります。ロングの場合も和髪に結うのではなく、さり気ないシニヨンにしてお洒落な簪や髪飾りをつけるのがステキだと思います。着る側にしても、洋服のときと同じヘアスタイルでそのままきものを着られるのは楽で、気軽に着てみようかなという気持ちにさせてくれます。ショートにしろロングにしろ、基本はうなじを見せることです。首周りがスッキリしていれば、それだけで「きもの美人」になれます。
■■仲間がいると10倍楽しい
きものを楽しむためには、仲間を見つけるのが1番です。友だち同士で集まってコーディネートの研究をしたり、わからないことを教え合ったり、情報交換したりと、きもの談義は尽きることがありません。私にもきもの友だちがいますが、ネットで何かを探すのが得意な人、気楽に相談できる呉服屋さんを知っている人、センスが抜群の人など色々で、みんなの知恵を出し合ってそれぞれが自分らしい着こなしを研究しています。もちろん、一緒にお出かけするのもお楽しみのひとつ。先月は川越に桜を見に行きました。ちょうど4人だったので谷崎潤一郎の『細雪』を気取りながら、満開の桜を楽しみ、美味しい食事を堪能しました。こういう楽しみはきものならではだなぁ、と思うのです。
(文/レディ東京ライター 中島有里子)
更新日:2022年5月11日(水)