■■ 第27回 日本を代表する染色法“友禅” ■■
織物と染物と大きく2つに分かれる「きもの」。生地に後から模様を染めるのが「染物」ですが、その中でも日本を代表する染色法が“友禅”です。“友禅”と言えば、普段きものを着ない人でもきっと聞き覚えがあるのではないでしょうか。今回はそんな“友禅”について紹介します。
■■繊細な絵画のような優美な模様が魅力の友禅
“友禅”は江戸時代の扇絵師・宮崎友禅斎が染色に自分の画風を応用したことから始まったとされています。お察しの通り“友禅”の名称も宮崎友禅斎が由来となっています。
友禅染めの特徴は染色の際、色が混ざらないように糊を用いることです。糸目糊と呼ばれる糸のように細い線で糊を置いていくことで、細かい柄を表現できるようになっています。友禅で繊細な絵画のような模様を描くことができるのは、この糊のおかげです。柄は季節の草花や花鳥風月など自然をモチーフにしたものが特徴です。
手書き友禅と型友禅
●手書き友禅
友禅には大きく分けて手書き友禅と型友禅の2つの技法があります。
手書き友禅は職人がすべてを手作業で行います。まずは図案作りから始まり、「下絵」、「糸目糊置き」、「地染め」、「箔置き」などおよそ20以上もの工程を職人が分業で行います。中でも「糸目糊置き」は一定の細さで線を描くことは難しく、熟練の職人技が必要となります。
本来、友禅染めは手書き友禅でしたが、後に型友禅の技法が生まれたため、手書き友禅は本友禅と呼ばれます。
●型友禅
型職人によって作られた型を使用して、染めの職人が染めあげていくのが型友禅です。型があるので量産できますが、それでも色ごとに型紙が必要となるので、たくさんの型紙を使用するためとても手間がかかります。
日本三大友禅の魅力と特徴
<京友禅>
友禅の最初の技法として誕生したのが、京友禅です。雅やかなデザインが多く、刺繍や金箔なども施され、公家文化らしく華やかなのが特徴です。それぞれの工程で職人が分業して作品を仕上げます。
<加賀友禅>
江戸時代に京都で友禅染めを始めた宮崎友禅斎が加賀に移り住んだことで誕生したのが加賀友禅です。自然文様が多く、刺繍や金箔は施さない武家文化らしい美意識を持つのが特徴です。下絵から染めまで通常1人で行います。
<東京友禅(江戸友禅)>
東京で作られる友禅染で、江戸友禅とも呼ばれます。江戸時代、大名お抱えの職人達が移り住んだとにより発展しました。藍や白、茶など落ち着いた色合いが多く、町人文化の粋や詫びが感じられるデザインが特徴です。
(レディ東京ライター/近藤洋子)
更新日:2023年1月20日(金)