きもの

第31回 知花花織


■ 第31回 知花花織 ■

かつては琉球王国が栄え、外国との交流を通して様々な文化が取り込まれた沖縄。その伝統文化が受け継がれ、今でも固有の文化が色濃く根づいています。
沖縄には国から指定された16もの伝統的工芸品があり、そのうち13が染織物という染織物の宝庫でもあります。今回はその一つ知花花織をご紹介します。

蘇った幻の花織

知花花織は現在の沖縄市発祥の織物です。18世紀には技術が確立されていたと言われており、かつては旧暦8月14日に行われるンマハラシー(馬乗り競争・男の祭り)や、 8月15日のウスデーク(臼太鼓・五穀豊穣を願う・女祭り)など、祭事や奉納舞踊の晴れ着として着用されていました。知花花織の特徴の一つが、琉球王府の貢布ではなかったことです。他の多くの花織は王府の貢布であったため、王府が定めた条件に沿ってデザインの統一が求められました。しかし知花花織は貢布を免れたため、自由度の高いデザインとなっています。そんな知花花織ですが、第一次・第二次世界大戦によってほとんど焼失してしまいます。さらに、混乱の時代もあり、技術の継承がうまくできず、伝統は途絶えてしました。しかし、知花花織の復活させたいという沖縄の人々の思いから、1989年復元に成功。現在はきものはもちろん、テーブルセンターなどの小物も作られています。

レディ東京_きものコラム31_知花花織

素朴ながら、華やか。知花花織の特徴

知花花織は琉球藍で染められた紺色の布地に、花織という通り花のような文様が連続して織り込まれています。経糸が浮き上がった状態で模様をつくりだす経浮花織と経糸を数本すくって刺繍のように織り込む縫い取り花織とがあります。そのどれもが素朴な風合いながら、華やかさを持ち合わせいるのが魅力です。
祭事の衣装や晴れ着として地域の人々に親しまれてきた知花花織。長い間受け継がれてきた伝統を暮らしに取り入れてみませんか。

(レディ東京ライター/近藤洋子)
写真提供:沖縄県 商工労働部 ものづくり振興課


更新日:2023年5月25日(木)