きもの

第35回 染織物のまちを訪ねる
〜愛知県・有松〜


■ 第35回 染織物のまちを訪ねる 〜愛知県・有松〜 ■

毎月、きものの産地ごとに日本の染織、きものの魅力をご紹介しているきものコラム。今回は番外編として、きものの産地を訪れた探訪記をお届けします。その第1回目は有松絞りでお馴染みの愛知県名古屋市有松です。

江戸時代の面影を残す風情ある街なみ

「いつかは私も有松絞りの浴衣が欲しい。」そんな願いを抱き続けていましたが、今年の夏、思いきって有松のまちを訪ねてみることにしました。
名古屋駅から電車で20分ほどで着く「有松駅」。駅を降りたった途端に現れるのが風情たっぷりの昔ながらの街なみです。そして、数分歩くと江戸時代の商家が軒を連ねる旧東海道に到着。約800mの街道沿いには、江戸時代の面影を残した日本建築が軒を連ねています。有松はもともと旧東海道の池鯉鮒宿(ちりゅうのしゅく)と鳴海宿(なるみしゅく)の間に誕生した茶屋集落。絞商の屋敷と町家が並ぶ街なみは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されるほどの美しく情緒ある景観です。

絞り問屋で伝統美に触れるもよし、美味を味わうもよし

街道沿いには有松絞りの土産物屋や歴史やその魅力を深く知ることができる「有松・鳴海絞会館」、古民家を利用したカフェや食事処もあるので、散策にもってこい。歴史と文化を心ゆくまで体感できるスポットとなっています。

そして、有松に来たからにはぜひ手に入れたい有松絞り。有松絞りは400年以上の歴史がある国の伝統工芸品。絞技法はなんと100種にも及び、さまざまな絞り柄が生み出されます。一帯には有松絞りを扱うお店がたくさんあり、伝統美を受け継ぐ反物はもちろん、現代の感性を取り入れたTシャツやスカーフ、バッグなど多彩なアイテムが揃っています。

ポップな小物など魅力的なアイテムもたくさんありましたが、私の今日のお目当ては有松絞りの反物。反物との出会いも一期一会。短い時間ながらも、心惹かれる反物に出会い、連れて帰ることにしました。

レトロな街なみを散策し、伝統美に触れることができる有松散歩。
思い出深い夏のひとときを過ごすことができました。
(レディ東京ライター/近藤洋子)


更新日:2023年9月21日(木)