■■ 第9回 夏きもので日本橋へ ■■
夏のきものほど素敵なものはない
夏のきものは涼しげで素敵です。蝉の羽のように透けた素材や、ざっくりと織られた帯地など、日本の染織の個性的な素材感がひときわ目立つような気がします。真夏の暑い日にきものを着て、汗ひとつかかずに佇んでいる女性を見ると、憧れと尊敬の念を禁じえません。だって、見た目には涼しい夏のきもの、着る者にとっては死ぬほど暑いのですから。冷房が効いた部屋ばかりならいいのですが、移動で外を歩く時などは汗だくになってしまいます。特に最近の夏の暑さは尋常ではありませんから、この季節にきものを着るには相当なやせ我慢が必要なのです。その心意気も含めて、夏きものはやっぱり"粋"なのです。カッコイイのです。根性のない私は、お気に入りの琉球絣がもう何年もタンスの肥やし。今年こそ頑張って着てみようかなぁと思っています。
■■ ゆかたの下着
ゆかたのいいところは長襦袢がいらず1枚で着られること。とはいえ、いざ着る時に意外と大事な下着問題。ゆかたの下に何を着たらいいのかわからない人も多いようです。ゆかたは元々お風呂上りに着る寝巻きのようなもの。外出することは前提ではなく素肌の上に直接着るものでした。でも、今は立派な外出着。生地によっては透けるものもあるので流石に下着は必要です。きもの用のスリップ式の下着なら胸元も足元もカバーするので安心ですが、「そんなの持ってない」というなら、タンクトップとキャミソールでも十分代用できます。要するに、袖口や裾から素肌が露出しなければいいのです。因みにブラとショーツは普段のもので大丈夫。生地によっても透け感が違うので、透けない色を選ぶことは大事ですね。なるべく涼しく着られるように、それぞれが工夫すればいいと思います。
■■ きもので得する「日本橋きものパスポート」
さて、この夏きものやゆかたでお出かけするなら断然日本橋が面白そうです。2021年4月3日で日本橋が開橋110年を迎えたのを記念して、日本橋・人形町にきものやゆかたで行くと色んな特典が受けられる「日本橋きものパスポート」が使えるからです。この企画には60店鋪が参加、きものまたはゆかたで対象店舗を利用すると、パスポート(冊子またはスマホWEB表示)を提示するだけでお得なサービスが受けられます。老舗レストランやフルーツパーラー、和菓子屋さんなど日本橋の主だったお店が参加しているので、これはなかなかいいかも。日本橋きものパスポートの利用期間は2022年3月31日(木)まで。涼しくなってからのんびり訪ねるのも悪くないですね。参加店に置いてあるパスポートを現地で調達するかWEBで手に入れて利用してください。
(文/レディ東京編集者 中島有里子)
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夏はできるだけ薄着にしたいので長襦袢の代わりに「うそつき」を着ます。うそつきだなんて面白い名前だなぁと思いますが、これは長襦袢と肌着が合体したもので、木綿の肌襦袢に半衿と付け外しのできる袖が付いていて、上からきものを着ると長襦袢を着ているように見えるのです。だからうそつき。洗濯機でジャブジャブ洗えるのも便利で、夏のきものの必需品です。
更新日:2021年7月7日(水)