■■ 第40回 置賜紬 ■■
置賜紬は山形県南部にある米沢・長井・白鷹地区で織られている紬の総称で、国の伝統工芸品に指定されています。
■■山形県南部、置賜地方に伝わる置賜紬
置賜地方は江戸時代初期から織物の素材となる青苧(あおそ)を栽培し、越後方面などに出荷していました。しかし、江戸時代後期になると出荷するだけでなく、織物も自分達の地域で作ろうと織物づくりを開始します。しかし青苧の凶作により青苧織は一旦中断。桑の木による養蚕に注力し、やがて絹織物の産地へと転換しました。そして紅花や藍などの植物染料で糸を染めた後に織る先染めの技法を確立しました。
■■米沢・長井・白鷹地区でそれぞれ個性ある染織物
置賜紬は米沢・長井・白鷹地区で異なる特徴を持っています。
・米沢
山形県の県花にもなっている紅花や藍など、自然の草木を染料を用いた「草木染紬」や「紅花染紬」があります。
<紅花染>
山形県花でもある「紅花」。江戸時代は口紅の原料として米沢藩の財政を支えるほどの貴重品で、金の10倍、米の100倍もの価値があるとされていました。紅花は黄色から紅色まで染めることができ、花びらに含まれる色素の99%が黄色で赤色の色素はわずか1%。赤色のきもの一反を染め上げるのに必要な花は90万輪とも言われます。その他の染料を重ね染めすることで黄色や赤色だけでない、様々な色に染めることができます。
・長井
「緯総(よこそう)絣」、「経緯併用(たてよこへいよう)絣」があります。
・白鷹
白鷹紬の「板締(いたじめ)染色技法」、琉球織物の影響を色濃く受けている「米琉絣(よねりゅうかすり)」は経済産業省の伝統的工芸品に指定されています。
それぞれ特徴がありますが、いずれも糸を先に染めてから手間をかけて織る平織という共通点があります。
レディ東京では今年で5回目となる「きもの展」をホテル椿山荘にて5月2日(木)に開催します。今回ご紹介した置賜紬も出品されますので、ぜひ皆さまご自身の目でその素晴らしさに触れてください。
詳細は3月6日発行「レディ東京」、「WEBレディ東京」でお知らせします
(レディ東京ライター/近藤洋子)
更新日:2024年2月22日(木)