きもの

第30回 京友禅


■ 第30回 京友禅 ■

日本を代表する染色法“友禅”。模様の輪郭に細かく糊を置き、色が混ざらないように防染し、花鳥などの絵模様を染め描く技法です。第28回では日本三大友禅の一つ「加賀友禅」を紹介ましまたが、今回は「京友禅」を紹介したいと思います。

レディ東京_きものコラム_京友禅

日本のきものの代表格とも言える「京友禅」

日本三大友禅の中でも最も歴史が古いのが「京友禅」です。「京友禅」が誕生したのは元禄時代のこと。京都で活躍していた扇絵師の宮崎友禅斎がきものに絵柄を染めたことが始まりです。これまで布に模様を施すには、絞り染めで染めたり、刺繍、箔を貼るなどの技法に限られていました。しかし、幕府が奢侈禁止令を発し贅沢を禁止すると、鹿の子絞りの生産が禁止されてしまいます。そこで、その対象外だった友禅染めが広く流行することとなりました。また、京都には鴨川、桂川、堀川などの河川があり、反物の糊や余分な染料を洗い流す工程、いわゆる「友禅流し」もかつては風物詩となっていました。

手描き友禅と型友禅

手描き友禅とは名のごとく手作業で模様を筆などで色を付けていく技法で、熟練の職人技が必要となります。一方、型を用いて染色するのが型友禅ですが、型染めだからと言って、簡単にできるわけではありません。色や柄が複雑な場合は型紙を数百も使って染色しなければいけません。
京友禅は模様の中心が濃く、外に向かうにつれて薄くなっていくのも特徴です。中心が薄く、外に向かって濃くなっていく加賀友禅と真逆なことも興味深いところです。

豪華絢爛、晴れの日のきものとして重宝

写実的な自然模様が絵柄の特徴の「加賀友禅」に対し、花鳥風月や有職文様(※)など文様化された優雅な絵柄が「京友禅」の特徴の一つです。また、加賀友禅では見られない、金銀箔や金糸銀糸の刺繍が施されているのも大きな特徴。つまり京友禅は見た目も華やか、豪華絢爛なのが魅力です。華々しい京友禅のきものは振袖や訪問着など晴れの日のきものの代表格です。気品ある京友禅の訪問着は結婚式はちろんのこと入学式、卒業式などのセレモニーに最適なきものです。
※有職文様とは平安時代以降、公家の装束や調度品などに用いられた伝統的文様のこと

(レディ東京ライター/近藤洋子)


更新日:2023年4月21日(金)