きもの

第2回 西陣織(京都)

■ 第2回 西陣織(京都) ■

きものを着なくても、西陣織の名を知らない人はいないと思います。西陣織とは、「多品種少量生産が特徴の京都(西陣)で生産される先染の紋織物」の総称。「染めのきものに織りの帯」といわれますが、染めの着物の代表格が友禅染、織りの帯の代表格が西陣織で、最も品格の高い帯とされます。昔から「帯は西陣」といわれる所以です。


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■ 西陣織の起源は古墳時代
西陣織の歴史は古く、5世紀〜6世紀ごろ、大陸からの渡来人である秦氏の一族が、今の京都・太秦あたりに住み着いて養蚕と絹織物を伝えたのがはじまりとされます。平安遷都後、朝廷は織部司(おりべのつかさ)という織物業の役所をつくり、絹織物の技術を受け継ぐ工人(たくみ)によって綾・錦など高級織物の生産をはじめました。「西陣織」と呼ばれるようになったのは室町時代の応仁の乱の後。戦禍を逃れていた職人たちが戻り、織物業を再開した土地が西軍の本陣(西陣)だったことから「西陣織」という名が生まれました。その後も中国の明から技術を取り入れ、幕府の保護のもと、高級織物の産地としてさらに発展を遂げたのです。

■ 西陣織の種類は多種多様
「西陣に織れないものはない」といわれるほど多彩な西陣織。何色もの色糸を使って美しい織文様をつくりだす錦(にしき)、とりどりの色糸を使い、刺繍のように縫い取りで柄を降りだす唐織(からおり)、緯糸(よこいと)だけで文様を表現する綴(つづれ)のほか、箔(つかい)、紹把(しょうは)、すくい、紬(つむぎ)、絽(ろ)、紗(しゃ)、羅(ら)、刺練、染と、実にさまざまな染織の技法が用いられています。伝統的な文様から、現代的で斬新な図柄に挑戦する機屋さんまで実にさまざまです。


■ 伝統と革新が生み出す魅惑の帯

西陣の帯の製造は、一般的に図案デザインから紋図、特殊な糸の製造や加工、紋紙掘り、引箔、染色、手織りまでが分業化されています。一流の職人の手による技術力と、京都という土地柄が生み出す華やかで雅な帯は美しく、きものを着る女性たちを魅了しますが、機屋さんの中には若いデザイナーのポップな図柄を帯に仕上げ海外で発表する個性的な店もあり、西陣織の可能性を広げています。

《 今月のワンポイント:帯留め 》

kimono02_b2.jpgきもののお洒落は帯周りで決まります。お茶会やフォーマルな席に行く場合は別として、観劇やお食事に行く時なら、帯留めや帯飾りで大いに遊ぶのが楽しいと思います。写真はいずれもアンティークの帯留め。フルーツの帯留めはセルロイドで、元はブローチだったもの。元々ブローチと共用できるものも多いですね。帯留めは「大胆過ぎるかな」と思うくらいのものの方がお洒落。自分の個性を思い切り主張してみてくださいね。
 

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更新日:2020年12月17日(木)