きもの

第24回 読谷山花織(ゆいたんざはなうい)


■ 第24回 読谷山花織(ゆいたんざはなうい) ■

染織物の宝庫・沖縄から今回は可憐な表情が魅力の「読谷山花織」を紹介します。「読谷山花織」は沖縄県中頭郡読谷村で作られている約600年の歴史を誇る織物です。しかし、明治時代の中頃から衰退しはじめ、沖縄戦争後は残念ながら「幻の花織」となり絶滅寸前の危機に陥りました。一度は姿を消しかけましたが、読谷村の有志によって1964年に約90年ぶりに復活を遂げました。

天然素材で染色された美しい色合い

「読谷山花織」は鮮やかな色合いも魅力。その色合いの秘密は染料にあります。染料のもとになるのは、フクギ、ゲッキツ、イタジイ、琉球藍などの沖縄産の植物。これらの木々の樹皮や葉を煎じて染料にしています。例えば、沖縄の代表的な植物、フクギを原料とした染料を使用すると、自然な色合いの黄色や緑色に染め上がります。また、何度も染色と水洗いを繰り返すことで、独自の風合いが生まれるということです。

3つの花柄を組み合わせて織るのが特徴

織物は花柄を組み合わせて紋様を作っていきます。その花柄は3つあり、それぞれ意味を持っています。

・ジンバナ【銭花】…お金をモチーフにした模様。金運祈願。
・カジマヤーバナ【風車花】…風車をモチーフにした模様。97歳になると風車を配る習慣がある。長寿祈願。
・オージバナ【扇花】…末広がりの扇をモチーフにした模様。子孫繁栄・子宝祈願。

製作者がそれぞれこれらの花柄を自由に組み合わせて織られるため、個性豊かな独特な紋様ができあがります。

「読谷山花織」は小物なども充実。読谷山ミンサーも読谷村周辺の紋織物

「読谷山花織」は古くから婚礼の際の晴れ着「ワタジン」や踊りやエイサーの衣装「ウッチャキ」などの着物が作られてきました。現在では暮らしの中で手軽に取り入れられるようにテーブルセンターやコースター、財布や名刺ケース、ネクタイなども作られています。また、「読谷山花織」と同じ頃に織られるようになった読谷山ミンサーも読谷村周辺で作られている織物。ミンサーとは細帯を意味し、竹串を使って縦糸を浮かせて紋柄ほ作るので「グーシ(串)花織」とも呼ばれます。

(レディ東京ライター/近藤洋子)


更新日:2022年10月19日(水)