きもの

第22回 日本の絣のルーツ 琉球絣


■ 第22回 日本の絣のルーツ 琉球絣 ■

暦の上では立秋を迎えても、まだまだ厳しい残暑が続く今日この頃。きものを着るには少しばかり暑いとお思いかもしれませんが、暑い夏でも凛ときものや浴衣を着こなしている人を見ると、涼やかな気持ちをわけてもらえるものです。そこで今回は盛夏でも涼感が楽める沖縄のきもの「琉球絣」をご紹介したいと思います。
日本の絣のルーツ 琉球絣

日本の絣の原型と言われる「琉球絣」

「琉球絣」は沖縄県南風原町で作られている織物です。絣はインドの地で誕生した後にタイ・カンボジア・ベトナムなど東南アジア諸国に発展。やがて14世紀から15世紀に琉球に伝わり、琉球絣は日本の絣の原型となっていると言われています。琉球王朝時代に絣織が盛んになり、それぞれの土地で独自の絣が織られるようになり、織物文化が根付いていきました。その後、江戸時代には絣は海を越え、薩摩絣、久留米絣、伊予絣などができたとされています。

図柄は600種類以上!豊富な図柄、色、糸室が魅力

琉球絣の大きな特徴となっているのが、600種類以上とも言われる豊富な幾何学模様の図柄。図柄は植物や動物、生活用品などがモチーフになっていて、図案は「御絵図帳」という琉球王朝時代に作られたデザイン集を元に作られます。職人がモチーフを複数組み合わせてオリジナルの柄を作り上げるので、組み合わせの妙を楽しむことができます。

豊富なのはデザインだけでなく、使用する糸もバラエティに富んでいます。元は木綿絣でしたが、現在主流となっているのは絹糸。その他にも生糸や玉糸、麻糸など様々な糸が使われ様々な風合いを楽しめます。
また、染料としてグール、福木、琉球藍などの沖縄の植物や、時には化学染料などを用いて多彩な色に染め上げるので、色合いが豊富なことも大きな魅力となっています。

専門職人による分業制

琉球絣の製作工程は20ほどありますが、全ての作業がもちろん手作業。ただし、それぞれの工程において専門の職人がおり、完全分業制になっています。この分業により、他の織物と比べると生産体制がシステマティックで、たくさん生産でき価格を抑えることもにも繋がっています。お値段が控えめになっているので、手に入れやすいのも琉球絣の魅力です。

沖縄の織物のなかでも図柄や色合いが多様な琉球絣。日本の絣のルーツとも言われるきものを身に纏ってみるのも乙なものです。
(レディ東京ライター/近藤洋子)


更新日:2022年8月17日(水)